トランスジェンダーモデルの矢神サラ、性別適合手術の苦しみ語る「2度の手術でも、終わりはない」
◆「オカマは変」と多様性を認めない偏見を持つ人も、突き抜けて可愛くなれば優しくなる
――家族以外の周囲に打ち明けた時に、嫌な思いや後悔をしたことはありませんでしたか? 【矢神サラ】 高校時代に女の子たちと恋バナをしている中で打ち明けたのですが、受け入れ態勢がすごく出来上がっていたというか、自然に打ち解けました。いまの若い世代は、生活がすべてInstagramやTikTokで見える化されているので、トランスジェンダーについても知っていて、昔に比べて受け入れやすくなっているという話も聞きます。それに、私には自分の強い想いがあったので、冷たい言葉を浴びせられたこともありましたが、後悔はないです。むしろ「言えて良かった」とスッキリしました。でも、いまも悩んでいる当事者は、私の時代と変わらないくらいいると思います。 ――トランスジェンダーであることで辛い思いをしたこともあるかと思います。 【矢神サラ】 特に義務教育期間は、すごくたくさんありました。女の子と遊んでいると、「男の子の友だちを作りなさい」と先生に言われる時代でしたので。女の子っぽいと“オカマ”と言われいじめられる子もたくさんいて、私もそういう経験があります。でも、大人になったいま振り返ると、あの頃のいじめは仕方ないと思えます。人と違うことに対して敏感な年頃ですし、多数派が社会の中心になる中での少数派なので。 ――大人の世界でも差別や偏見が完全になくなることはなさそうです。 【矢神サラ】 正直なところ、そういう人もいます。年配の方が多い場所では、「オカマは変」と多様性を認めない。そういう風に育ってきたので仕方ないと思います。そんな差別や偏見を受けて、私がこれまでの人生で学んだのは、「人は見た目が9割」ということ。突き抜けて可愛くなれば、「オカマは変」と言うおじさんたちも優しいんです(笑)。だから私は可愛くなろうと思って、ここまで来た感じもあります。 ――いくつくらいで「突き抜けて可愛くなろう」と思ったのでしょうか? 【矢神サラ】 15~16歳の頃には感じていました。男の子たちは可愛い女の子が好きと自覚し始めるし、テレビを観てもスタイルが良くて可愛い人ばかり。上手に生きている女性はみんなキレイなんです。同時に、その裏には大変な努力があることも知りました。私は、10代から整形手術をしていますが、身を持て感じたことが多いです。