「あれ、おかしいな…体が動かない」箱根駅伝“山の神”に抜かれたランナーの悲劇…東洋大・期待の1年生がまさかの大失速、なぜ起きた?
「あれ、おかしいな。体が動かない」
どの選手も、上りでは自分のリズムを重視している。選手は呼吸や足音でリズムを取るのだが、箱根駅伝では大観衆の声援の中で走るので、自分が吐く呼吸の音すら聞こえず、自分の足音も耳に届かない。 そのための、今井は、函嶺洞門の中や小涌園前から上の比較的応援の少ないエリアで自分のリズムを確認していた。そのリズムを失うとペースが上がらないまま終わったり、オーバーペースになってスローダウンしたり、ブレーキにつながったりする。 北村に抜かれたあと、必死に食らいつこうと思って走っているときだった。 「あれ、おかしいな。体が動かない」 釜石は、震える自分の体に異変を感じた。宮ノ下を通り、日陰で急勾配が続くなか、かいた汗が冷え、一気に体の熱が奪われていった。そのため、寒さで体が硬くなり、動かなくなった。 「かいた汗が濡れ、体が冷えきってしまったんです。ランシャツじゃなく、Tシャツにしておけばと思ったんですが、それはあとの祭り。寒いし、体は冷えるし、小涌園の手前あたりから意識があまりなかったです」 釜石は、低体温症を発症していた。 〈つづく→第2回へ〉
(「箱根駅伝PRESS」佐藤俊 = 文)
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