上島竜兵の妻・広川ひかる「“心のお守り”を持っておけば前向きに生きられる」1年半経って思うこと
家族の承諾なく報道され、引っ越しも余儀なくされた
――上島さんが亡くなられたあと、いわゆる“メディア被害”でも苦労されたとうかがいました。 広川ひかる: 家族に承諾なく一報がメディアに流れたんです。警察の方と太田プロの社長さんと私と3人で、葬儀が全部終わってからマスコミに発表しましょうと話し合いしていたのに。あの時間は何だったのと思いましたね。メディアにお世話になってきた私たちなので、メディアを批判することは本当にしたくはないんですが、なんだかキツネにつままれたようなと言いますか、何だこれと思いましたね。 速報が流れた瞬間に、電話やLINEが鳴り止まなくなって、スマホもバグってしまいました。すぐに自宅前の生中継が始まったんです。テレビはつけてなかったんですが、友だちから「今、家から出ないで。生中継してるから」って連絡が来て驚きましたね。令和なのに、昭和の配慮が足りなかった時代のような事態が起きてすごく傷つきました。「お笑い芸人だから何をしてもいいのか」「裸で走り回るような人間には何をしてもいいのか」っていう怒りを覚えました。さらに自宅がばれたことによって、そこに住んでいられなくなり引っ越しをすることになったので、その作業もものすごく大変でしたね。 ――引っ越しとあわせて遺品の整理なども同時にされていたのでしょうか。 広川ひかる: 同時進行で全部やりました。生前から竜ちゃんに遺言書を書いてほしいと言ってはいたんです。「子どもはいらないんだ、俺は」っていうから、「だったら、相続のことをきちんとしておかないと、後で必ずもめるから」と。「私が先に逝くかもしれないし、あなたが先に逝くかもしれない。だけど、どちらの家族とも相続で仲たがいになるようなことは絶対にしたくないから、きちんとしてほしい」って言ったけど、何もしてくれなかったですね。2人とも70代とかだったら、「じゃあ、ちょっと終活を始めていきましょう」という話になったかもしれませんが、まだ若くて真剣にそこを考える世代ではなかったというのもあったのでしょうね。 もともと、私自身いろいろな手続きをすることが得意ではないので、とまどいながら、いろいろな方に教わりながらやりました。しかも、その間に私の体に異変が生じて、胸にしこりがあるって気がついたんですが、病院に行く時間がないんですよ。なので、とりあえず引っ越しだけを済ませて、病院は二の次になり先延ばしにしていたんですが、結局は乳がんでした。本当に急な出来事で、すべて私1人でやるしかなかったので、すごく大変でした。