LGBTQ+差別に対処する「仕組み」スウェーデン・ドイツ訪問記──連載:松岡宗嗣の時事コラム
視察を通じて、政府の反差別のメッセージに心強さを感じた一方で、掲げられる「人権」や「平等」という言葉に対して、近年のイスラエルとパレスチナをめぐる現状やそれに対する西側諸国のダブルスタンダードから疑問を抱かざるを得ない部分もある。 LGBTQ+をめぐる権利においても、法律が整っているという点のみをもって、社会全体を「進んでいる(優れている)」または「遅れている(劣っている)」という捉え方をすることには注意が必要だろう。 ただ、差別に対してどのような仕組みをもって対処していくかという点では、各国の法制度を比較し、参考にすることは意義がある。日本社会にどう活かせるかを考えていきたい。
松岡宗嗣(まつおか そうし) ライター、一般社団法人fair代表理事 1994年、愛知県生まれ。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する「一般社団法人fair」代表理事。ゲイであることをオープンにしながらライターとして活動。教育機関や企業、自治体等で多様な性のあり方に関する研修・講演なども行っている。単著『あいつゲイだって アウティングはなぜ問題なのか?』(柏書房)、共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)など。 文と写真・松岡宗嗣 編集・神谷 晃(GQ)