母が亡くなりました。母には現金がほとんどなく、資産は自宅と不動産のみで相続税が払えそうにありません。私も貯金がないのですが、どうしたらいいですか?
相続が発生したときに相続税が発生する場合があります。その際に相続財産の多くが土地建物等の不動産の場合、現金が足りなくて相続税を払うのが困難となるケースがあります。相続税の支払いが難しい場合、「延納」や「物納」といった方法があります。 今回は「延納」について、どのような場合に対象となるのか見ていきましょう。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続税の現状
令和4年分相続税の申告事績の概要によりますと、令和4年分における死亡者数は156万9050人でした。そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は15万858人、課税割合は9.6%、相続税の課税価格の総額は20兆6840億円、申告税額の総額は2兆7989億円でした。 死亡者数は前年比9%増でしたが、被相続人数は12.4%増、課税割合は0.3ポイント、税額は14.6%増となっています。
どのような要件であれば延納が申請できるの? 延納の期間は?
以下のすべての要件を満たす場合に、延納を申請できます。 1.相続税額が10万円を超えること。 2.金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。 3.延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。 4.延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。 (出典:国税庁「No.4211 相続税の延納」) 延納申請書を提出したときは、延納申請期限から3ヶ月以内に許可または却下が決定しますが、延納担保などの状況により、許可または却下までの期間を最長で6ヶ月まで延長される場合があります。 延納できる期間は相続財産に占める不動産等の割合によって異なり、財産の種類・割合によって5年から最長20年(特定の森林については40年)が限度となっています。もちろんこの場合は、所定の利子率により計算した延納利子税を併せて納める必要が出てきます。