気候変動に関連した「影の負担」は300兆円 国際商業会議所が報告書
(CNN) 2014年から23年にかけて世界中で発生した異常気象による被害総額は推計2兆ドル(約300兆円)に上り、08年のリーマン・ショック並みの負担となっていることがわかった。国際商業会議所(ICC)が報告書を発表した。アゼルバイジャンの首都バクーでは今週、国連気候変動会議(COP29)が開幕した。 米国でも10月に「ヘリーン」と「ミルトン」の二つの大型ハリケーンが上陸し、コアロジック社の推計によれば、515億~815億ドルの被害が発生した。被害が出たのはほとんどが南東部の各州だった。 ICCの報告書は気候変動と自然災害について警告しており、気候変動や自然災害が引き起こす経済的損失が数兆ドルに急増していることを示している。 ICCは報告書の目的について、地球規模の気候変動に直接寄与する温室効果ガスの排出を削減するための政策を加速するよう政府や企業を後押しすることだと説明した。 ICCのジョン・デントン事務総長はCNNに宛てた声明で、「世界的な金融危機が世界の指導者の迅速かつ協調的な対応によって対処されたように、気候変動が及ぼす経済的な影響には同様のスピードと断固とした対応が必要だと各国政府が理解することが必要だ」と述べた。 今回の報告書では過去10年間に六つの大陸で発生した約4000件の気象現象を評価して、家屋や企業、インフラの破壊によって生じた直接的な被害額と、異常気象が人間の生産性に与える影響の両方を盛り込んだ。 報告書によれば、こうした気象現象の影響を受けたのは約16億人。こうした被害者は時間の経過とともに増加の一途をたどると報告書は警告している。記録された気象に関連した災害は1980~99年と2000~19年を比較すると83%増加していた。 22年と23年の経済的な被害額は4510億ドルに上り、過去8年間の年間平均と比較して19%増加した。