新型トライトンに「パジェロの代役」としての素質はあるか?
乗る側にしてみると、2.4リッターのディーゼルエンジンはトルクがたっぷりあって扱いやすいし、乗り心地も硬すぎず、「こういうクルマもアリだな」と思える説得力をもっている。 トラックというボディ形状も、子どもの頃“はたらくクルマ”が好きだった人には、アピール力が強い。それも事実といえる。 こうしてハイラックスが下地を作ってくれた市場に今回、登場したのが、三菱自の新型トライトンだ。トライトンも、ハイラックスのように歴史が長いモデルで、海外名「L200」としての初代モデル(日本名:フォルテ)は1978年に登場。現在は第6世代となる。
■オフロード走破性と一般道での乗り心地の両立 トライトンは、2.4リッターディーゼルエンジンに6段AT搭載のクロカン型4WD。ボディサイズは全長5360mm×全幅1930mm×全高1815mm(上位モデルのGSR値)で、パワートレインといいディメンションといい、ハイラックスと多くの点で近い。 しかし、ハイラックスが競合でありながら、トライトンはまったくちがうマーケットを対象にしている。 「トライトンはドライブモードが7つあり、オフロード走破性が高いと同時に、一般道での乗り心地のよさにも自信を持っています」
三菱自動車商品戦略本部の増田義樹チーフプロダクトスペシャリスト(CPS)は、山梨県は本栖湖周辺でのテストドライブの機会に、そう語った。 それにしてもなぜ、これまでそれほど大きくなかったマーケットに、三菱自がトライトンを“あえて”持ち込んだのだろう。 三菱自が用意したプレス向けの説明をひもとくと、トライトンの可能性について「カスタマイズ」「オフロード」「キャンプ」「ファミリーユース」「アドベンチャー」「レース」「自転車」「バイク」「スノーボード」といったキーワードとともに書かれている。
簡単にいえば、「レジャーユースとしての用途も増加」しているというわけだ。注目すべきは「ダカールラリーで鍛えた4WD性能・堅牢性・信頼性といった“パジェロDNA“を継承」していると強調される点だ。 「実際、購買層の中には、これまでパジェロオーナーだった方もいらっしゃいます」と前出の増田CPS。 パジェロの技術志向の作りは、一定のファンを獲得してきた。ところが、欧米の排ガス基準への適合のむずかしさなどを理由に、2019年に生産終了。それでもパジェロのレガシー(遺産)は健在で、三菱自では「パジェロで培った」とうたう独自の4WD技術をトライトンに搭載している。パジェロの「新世代の代役がトライトン」とみることもできるのだ。