新型トライトンに「パジェロの代役」としての素質はあるか?
■洗練の乗り心地を確認 はたして、トライトンのドライブ。操縦したとき感じる洗練性は、パジェロをはるかにしのいでいた。 私が最後のパジェロをドライブしたのは2019年。そのときの記憶をたどると、オフロード性能はともかく、オンロードではラフなところがあり、「このまま改良しないなら生産終了もやむなし」という印象だった。 それに対して、トライトンは乗用車としてみても、まったく問題ない。道なき道で活躍するオフロード4WDトラックというイメージでのぞむと、拍子抜けするぐらい、(ほぼ)全方位的に完成度が高い。
試乗場所のひとつは、山梨・富士ヶ嶺(ふじがね)オフロードという、4WD車の悪路走破性を“楽しむ”ためのコース。岩場あり、砂利あり、かつ急勾配の登り下りと急なターンが連続して現れるような道を走った。 トライトンは「Power For Adventure」を商品コンセプトに掲げていて、クロスカントリー4WDとしての機能が追求されており、先述のとおり「グラベル」「スノー」「マッド」「サンド」「ロック」を含め、7つのドライブモードをもつ。
まず「ロック」にしてみると、おもしろいように斜面を駆け上がっていく。縦揺れがまったくないのにも感心。アンチロールバーがつく前のレンジローバー(1990年ごろ)のすばらしい悪路での乗り心地を思い出した。脚がよく伸びている証拠だ。 トライトンには、曲がりにくいカーブや滑りやすい路面において車体の動き(ヨー)を感知して駆動力を制御する「AYC(アクティブヨーコントロール)」が採用されている。 かつての「ランサーエボリューション」の技術を応用したのだそう。これは「感知しにくいですが、けっこう低い速度でも作動しています」と三菱自で4WD車の開発をになうドライバーが教えてくれた。
■万能な「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」 さらに「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」という、駆動方式切り替え式の4WDシステムも搭載。負荷の少ない路面用「2H」から、2輪が浮く悪路でもぐいぐい進んでしまうローギア直結、かつセンターデフをロックする「4LLc」まで4つのモードがある。 ハイギアードのデフロックモード「4HLc」でも、けっこういける。センターデフをロックすることで車輪の空転を防ぐため、2.4リッターディーゼルターボエンジンによる470Nmもの太いトルクとの相乗効果で、「ここ登れるかな……」と不安になるような急勾配の岩場だろうと、まったく問題なくこなす。ドライブモードのトルクコントロールの恩恵もあるだろう。