【総戸数1,000超】高級タワマンの全ポストを埋める、不要なチラシ…ポスティング業者を待ち伏せ直談判も「お詫び広告」全投入の荒業に、管理組合理事長、撃沈
無謀なポスティング業者 vs. 管理組合
大量のチラシのせいで「ひとり緊急事態」に陥ったCさんがやり場のない怒りを向けたのは、例によってタワマン理事長・T氏だった。 「どうしてくれるんですか、管理組合が集合ポストの問題を放置するせいで、私は不自由な思いをしています! ポストの適正な管理は管理組合の責任、ひいては理事長であるあなたの責任では? いますぐ改善策を考えてくれないと困ります!!」 「その、電気水道料金を、口座振替か、クレカ払いにしてもらえればですね…」 「ハァァァ!? 重要書類は電気水道の振込用紙だけはないでしょうよ!!」 CさんはT氏の両肩を掴むと、ガクガクと激しく揺さぶった。 疲労からくる苛立ちで、手負いの獣のようになっているCさんの要望を受け、T氏は急ぎ対応に乗り出すことにした。 「これは、忘れんぼうのCさんだけの問題ではない。タワマンの入居者全員の問題なのだ」
迷惑チラシの問題から見えてくる、セキュリティの懸念点
実は、ポスティングという行為自体は違法ではなく、簡易な宣伝手段のひとつとして認められている。そして、タワマンの集合ポスト(投函側)の多くは郵便局員や新聞配達員の便宜を図って無施錠になっており、ポスティング業者も自由に出入りできる。 とはいえ、他人の敷地に無断で入れば「住居侵入罪」だし、「ポスティング禁止」を掲げている集合ポストにチラシを差し込めば「軽犯罪法違反」に問われるリスクもある。 このような視点で考えるなら、大量のチラシという面倒な問題の向こうに、他人が容易に入って来られるアンセキュア(unsecure)な部分があるという、さらに大きな問題が透けて見える。 眺望のよさや共用施設の充実はもちろんだが、タワマンの魅力に「セキュリティの高さ」をあげる住民は多い。タワマンにおける「セキュリティの欠落」は、資産価値を大きく左右する、致命的な問題だ。 T氏が理事長を務めるタワマンにも、政治家や芸能人といった著名人が住んでいる。実は過去に、部外者が著名な住民を目当てに入り込み、警察沙汰になったことがあるとの申し送りを、T氏が理事長になるときに受けていた。その事件以降、タワマンの敷地と建物内の防犯カメラは大幅に増設され、合計60台のカメラで不審者を監視している。