【総戸数1,000超】高級タワマンの全ポストを埋める、不要なチラシ…ポスティング業者を待ち伏せ直談判も「お詫び広告」全投入の荒業に、管理組合理事長、撃沈
直談判も効果なし、結局は専用ゴミ箱を置き…
いくら不要なチラシの投函を回避するためとはいえ、集合ポストに施錠をすれば、郵便局員や新聞配達員が入れなくなる。それでは現実的な選択肢とはいえない。 また一方で、最近では自宅玄関前への「置配」を利用する住民も多く、部外者の出入りは一層増加している。セキュリティ・リスクは高まるものの、対策が追い付かない状況下、T氏は「まず足元から」と腹をくくり、「チラシを減らす」という対策から進めていくことにした。 まず実施したのは、ポスティング業者への直談判だ。 集合ポストにさまざまな業種のチラシ広告が投函されるが、ポスティングしているのは広告主ではなく、広告主から投函を依頼されたポスティング業者である。当然だが、そのチラシにポスティング業者の連絡先など載っていない。そうなれば、現場に臨場して直談判するしかない。 T氏は役員たちと手分けして集合ポストを監視し、ポスティング業者が現れたところに突撃。投函をやめるよう声がけを続けたが、敵もさるもの、今度は「夜討ち・朝駆け」を決め込んできた。さすがに24時間監視はムリである。 業者が止められないなら、住民にせめて少しでもストレスを軽減してもらおうと考え、チラシ専用ゴミ箱を設置した。 これはなかなか好評で、ゴミ箱はすぐ一杯になった。ところが、覗いてみると紙のチラシだけでなく、水道修理などでおなじみのマグネットのチラシも大量に投げ込まれており、今度は分別に大わらわだ。懲りたT氏は、すぐさま「マグネットチラシ専用」の回収ボックスを増設。ありがたいことに、住民は文句もなく協力してくれ、事なきを得たのだった。
「資源のムダ、時間のムダ。本当に、もう!」
T氏が呆れたのは、あるガス器具販売会社・D社のチラシ広告だった。このタワマンはオール電化で、ガス機器の利用はできない。それにもかかわらず、「お住いのマンションで成約がありました!!」との宣伝文句をデカデカと書いたチラシが、何度も何度も投げ込まれている。 業を煮やしたT氏は、D社に電話をかけた。 「うちのマンションはオール電化です。〈成約がありました〉と書かれたチラシが大量に投函されていますが、そんな事実はありませんよね? こういうの、本当に迷惑なんです。やめてもらえますか?」 電話の向こうでは、D社の担当がしきりに詫びている。 さすがにこれだけ言えば止めるだろう…と、T氏はいら立ちを押さえ、紳士的な対応に終始した。 ところが数日後、またD社のチラシが投函された。 「お詫び 成約は間違いでした!」 このように大書きされたガス器具のチラシが、またもや全戸に投函されていたのである。 普段穏やかなT氏も、思わず悪態をついた。 「ああ、チクショウ! 資源のムダ! 時間のムダ! 労力のムダ! 本当に、もう!」 このイタチごっこが終わる日は、恐らく来ないのかもしれない。
THE GOLD ONLINE編集部(タワマン取材班),タワマン理事長