新NISAは「ほったらかし」が鉄則だが…積立投資で「年1回だけ絶対にやったほうがいいこと」
■妄想をしながら「人生3大資金」を試算 ・投資目的を明確にする 漠然とした将来の不安から投資を始めた方は多いことでしょう。資産形成の一歩を踏み出せたことは素晴らしいことです。ただ、投資目的が明確でないと目先の利益に惑わされがちです。 ---------- 10年後、長男が第一志望の大学に合格 20年後、定年退職し、家族と年に1回の海外旅行 30年後、妻の地元・山梨に移住、夫婦でスローライフ ---------- このように、10年単位で将来の目標を明確にイメージしてみましょう。楽しく妄想することがポイントです。脳のRAS(脳幹網様体賦活系)は、自分が関心のある情報を無意識に集める特性があり、明確なイメージが行動の後押しをしてくれます。 次にざっくりと教育費、住宅費、老後資金などの人生3大資金を試算します。その試算に基づいて、自分に合った長期積立・分散投資を実践すると、投資を継続しやすくなります。 状況によっては、途中で目標が変更になるかもしれません。当初のプランに執着しすぎず、柔軟に対応することも大切です。 ■個別株式は2割以内に収めたほうがいい ・コア・サテライト戦略 意外と見落としがちなのが、安定資産と高リスク資産の割合です。ここで実践したいのがコア・サテライト戦略。守りのコア(安定資産)と攻めのサテライト(高リスク資産)に分けて管理する運用方法で、プロの運用会社も採用しています。 ---------- 具体的なステップ 生活資金の確保:現預金で3~12カ月分 資産配分の決定:リスク許容度診断でわかる。国内外の株式・債券・不動産、金などに分散 コア8割以上:資産配分通りにインデックス投資信託を自動積立 サテライト2割以内:余裕資金で個別株式をバイ・アンド・ホールド ※手堅く運用したい人はコア100%でOK ----------
■「市場を読む」なんて諦める 次に、3つのメンタル維持法を紹介します。 ①自分のお金ぐせを知る 投資行動は、その人のお金の使い方にも関係しています。たとえば、なんでも節約したい人は、投資で1円たりとも損したくないかもしれません。こういう「リスク許容度」が低いタイプは、無理に投資するのは禁物です。収支を整え、貯蓄や個人向け国債などの安定資産で運用しましょう。 一方、まとまったお金が手元になると、パーっと使いたくなる人は、今すぐ一発で儲けたい気持ちが強いかもしれません。くれぐれもリスク許容度診断の範囲内で投資をしましょう。 ②市場予測をせずに謙虚な気持ちで 本当に多くの人がやってしまいがちなのが、市場予測。金融経済に興味が湧いて相場を予測し、短期売買をしたくなるのです。プロでも相場の動向を完全には予測できません。金融商品や経済の仕組みを勉強しても、自分の投資スキルを過信しないようにしましょう。10年後、20年後のほしい未来を叶えるための資産形成に立ち戻りましょう。 ■運用成績を毎日チェックしてはいけない ③頻繁な見直しを避ける 頻繁に運用成績をチェックすると、一喜一憂したり、追加で売買をしたくなったりします。その結果、最初に決めた資産配分が崩れて、期待通りの運用ができなくなります。 私自身も心がけていることですが、運用成績チェックは年に数回のみです。代わりに、リーマンショック級の暴落で60%下落しても、6年くらいで回復した事実を強くイメージするようにしています。将来の市場予測はできませんが、暴落時でも淡々と買い続ける自動積立投資は、感情の面からも有効です。 また、金融庁のシミュレーションによると、1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資を行った場合、保有期間5年では元本割れの可能性がありました。一方、20年間保有すると、年間収益率が+2~8%という結果が出ています。あくまでも過去のデータで、将来の投資成果を予想・保証するものではありませんが、ひとつの参考にしてください。