1980年代に集めたディーゼル車3選。今とは比較にならない性能が懐かしい!
2.いすゞ「ジェミニ」(2代目)
今、いすゞ自動車といえばトラックやバスのメーカーだけれど、1990年代初頭までのいすゞは、デザインでも技術でも、なかなかすぐれた乗用車を多く手がけていた。ディーゼルエンジンのノウハウも豊富で、1985年発売の2代目ジェミニも“いすゞ的”ともいえるプロダクトだ。 いまでこそ街中で見かけることは稀になったが、1974年に登場した初代ジェミニは、印象的なクルマだ。セダンもよかったが、2ドア版がスタイリング的に洒落ていたし、操縦性にすぐれていて、私は本当に好きだった。 いま振り返ると、初代ジェミニといえば。1979年に発売された高性能な「ZZ/R」がまっさきに思いつくけれど、ディーゼルエンジンも、つねにアップデートが加えられ、1982年にはターボ化。これもいいクルマだったのだ。 フルモデルチェンジして、イタルデザインの手になるボディとともに、駆動方式も、後輪駆動から前輪駆動へと劇的に変わったのが2代目ジェミニ。このクルマでも、ガソリンに続いてすぐにディーゼル(とターボディーゼル)エンジンモデルが追加された。 2代目ジェミニでは、ただし、1985年から1990年代という時代もあり、ガソリンエンジン車の高性能化が顕著だった。GM社のチューニングを手がけてきたイルムシャーのパーツ装着車や、当時おなじGM系列だったロータス社のブランドを使ったZZハンドリング・バイ・ロータスなどが、いまも印象に残っている。 ディーゼル車は、1978年に「117クーペ」に追加されたし、ジェミニの上に位置するセダン、「アスカ」(1983~1990年)にも設定。当時のいすゞのディーゼルといえば、SUVのビッグホーンがもっとも印象に残っている。これにもハンドリングバイロータスがあった。あらゆる組合せを試す。それが当時のいすゞだったのだ。
3.ダイハツ「シャレード」(2代目)
2023年にさまざまな問題を引き起こし、全車種出荷停止まで実施したダイハツ工業だが、本来は地に足のついたクルマづくりを特徴とするメーカーなのだ。と、1983年発売の2代目「シャレード」を紹介にあたって、改めて思うのである。コンセプトメーキングにもすぐれていたし。 このシャレードといえば、まっさきに挙げられるのが、1.0リッターディーゼル。993ccの3気筒エンジンは、初代で採用されたものだが、最初はガソリン仕様だったのを、ブロックを流用してディーゼル仕様に仕立てたのだ。初代ゴルフもそうだった。 当時発表された燃費はリッターあたり37.1km。大きな話題を呼んだ。まあ、60km/hでの定地走行など、リアルワールドとはちょっとかけ離れた計測法だけれど、そこはおもしろければいいんじゃないか、などと思ったのも事実。 この3気筒ディーゼルエンジンは、先述のとおりガソリンエンジンのブロックを流用したこともあり(ブロックが薄め)、燃焼音がかなり大きめ。しかも振動がデカい。いい印象はほとんどないエンジンである。 ダイハツでは、それでも、1984年にはディーゼルターボを追加。“燃費チャンピオン”と、みずから謳うだけに、たとえ評価は芳しくなくても、ディーゼルエンジンをラインナップから落とすことは出来なかったのだろう。 むしろ2代目といえば、ガソリンエンジンのホットハッチぶりが印象に残っている。ひとつはエアロパーツをいろいろつけてWRCカーを思わせたスタイリッシュなシャレード・デトマソ・ターボ。もうひとつは、モータースポーツ用の926ターボ。そっちのほうが、開発陣の本懐だったはずだ。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)