1980年代に集めたディーゼル車3選。今とは比較にならない性能が懐かしい!
1.フォルクスワーゲン「ゴルフ ディーゼル」(初代&2代目)
ディーゼルのドイツ車といえば、フォルクスワーゲンのゴルフだ。日本では1977年に初代ゴルフのディーゼルが導入され、ゴルフⅡ、そしてゴルフⅢにも、という具合だった。 ゴルフのディーゼルは、なかなかよく出来ていた。始動が早くて、かつ、エンジン回転も意外によくまわり、とくに1970年代は日本の商用車ベースのディーゼルエンジン搭載車とあきらかに一線を画したモデルだった。「GTD」という性能を追求したモデルにも惹かれた。 難点は、ガラガラッというエンジン音。ゴルフといえば、雑誌「JJ」などでは、リッチなイメージのお嬢さまをイメージした読者モデルとともによく登場していたが、エンジンの洗練度をはじめ、重いステアリング、硬めの乗り心地、狭い後席と、ファミリーカーとしては、今ひとつ。と、当時の私は思っていた。 ディーゼルのゴルフは、くわえて、赤信号でやたら停止させられる日本の市街地では扱いにくかった。ドイツの信号は“緑の波”などといい、制限速度を守って走ると、信号が次々に緑に変わっていくが、日本では、パトカーが警らのコースに使う道以外は、なかなか見つからない。高速移動の多い人以外は、ゴルフのディーゼルに乗る理由がなかなか見つからなかった。 それと、1980年代に入ると、酸性雨が欧州で問題化するなど、ディーゼルの排ガス中の環境汚染成分が問題視されるようになってきており、それもある種のひとにとっては、ディーゼルとの距離感が広がったのも事実。 もうひとつの難点は価格だ。フォルクスワーゲン本社が日本法人を設立して販売に乗り出す前のゴルフは高かった。ゴルフⅡのCLディーゼルは233万円とかなり高め(1990年)。日本車だとトヨタ「クラウン」(2400ディーゼルターボスーパーDX)とほぼ同価格である。 1988年にはCLディーゼルターボが発売され、結構フォルクスワーゲン(と同社製品の輸入代理店のヤナセ)は、日本市場におけるディーゼルモデルの拡販に本気なのだと思わせられた。 欧州では2010年代後半に、ディーゼルエンジン車のCO2排出量規制が厳しくなり、一時はディーゼルも消滅か? など、極端ともいえる見通しまで飛び出した。 そこにあって、フォルクスワーゲンはディーゼルを諦めず、排ガスのクリーン化を進めるとともに、ガソリンエンジンとほとんど変わらない静粛性と軽快感をそなえたディーゼルエンジンを開発。いまのゴルフでディーゼルエンジンを体験するたびに、私は隔世の感をおぼえるのだ。