ゴミ屋敷で「物乞い犬」と飼い主に呼ばれていた毛玉だらけの老犬を保護→ガリガリだったがトリミングすると、健気に尻尾を振った
伸び切った爪が肉球に
ーー本来シーズー犬のオスは筋肉質でムチムチしているはずですよね……。 「取り除いた背中の毛玉の塊の方が、いっちゃんの体重よりも重いのではないかと思うほどでした。耳も本来の長さの倍以上が毛玉。手足の毛はムートンブーツを履いているかのような分厚さで、本来の尻尾の長さも太さもわからないような状態でした。 背中から毛玉を剥がしてもらうと、長い間毛玉で動きを制限されていたいっちゃんは自分の足で歩きました。そして、ボラ仲間さんたちに尻尾の毛玉を取り除いてもらうと、尻尾を振ってくれたんです。その姿があまりにも健気で涙が出ました。翌日、預かりさんが手足のムートンブーツをがんばってはがしてくれたのですが、どうしても足を嫌がる、と。保護の翌々日、動物病院に行くと、伸びきった爪が肉球に突き刺さっていたため、足を触られるのを嫌がっていたことがわかりました」
身近にある「虐待や飼育放棄」、決して他人事ではない
現在、いっちゃんは預かりさんのもとにいる他のシニア犬たちと共に、おいしいものを食べ、荒れた皮膚を保護する可愛い洋服を着せてもらい、今までの分を取り戻すように、たくさん可愛がってもらっているという。 「あの状況でよく生きていてくれたと、皆でいっちゃんをほめました。頑張ったね。偉かったね。もう大丈夫。何度も何度も皆でいっちゃんをほめ続けました。生きてるうちに保護されたいっちゃんは、まだ幸運な方なのだと思います。もっとひどい状況で苦しんでいる子は他にもたくさんいると思います。いっちゃんのようなケースは皆さんの身近でも起きています。決して他人事ではない、ということを多くの人に知ってほしいと思います」(junさん) junさんによると、元飼い主の女性を支援するセンターからは、今年の夏に夫が亡くなったのを機に女性の認知症が進み、飼育放棄が起きたと言われたそうだ。 「ただ、いっちゃんがすでに数ヶ月以上前から保護時のようなひどい状態だったことは把握していたそうです。支援センターがもっと早く行動を起こしてくれていたら……という悔しい思いがあります」(junさん)