「SNSのせいにするなんて情けない」…兵庫知事選・名古屋市長選「既成政党大敗」3つの根本原因とマスコミ・政治家の自己都合
「既成政党」サイドに大塚氏が推される構図
それは対立候補のSNS戦略が劣っていた場合に大きな効果を生む。だが、今回はSNS上で高い発信力がある日本保守党が広沢氏を推薦した。もともと選挙に強い河村氏の全面支援と国政政党になった日本保守党の応援が重なり、SNS上は大塚氏にだけプラスとなるムーブメントが見られなかった。 加えて、市長選では広沢氏が市長報酬800万円への削減や名古屋城天守閣の木造復元など河村市政の継承という分かりやすい切り口だったのに対し、大塚氏は「効果の検証」などインパクトに欠けた。選挙戦でも「国政と地方政治は車の両輪。今、名古屋はつながっていない」などと訴えたが、大塚市政によって何が市民にプラスとなるのか効果的な発信はできなかったと言える。 そして、3つ目は「抵抗勢力」の存在だ。先に触れた例で言えば、現職や後継候補、あるいは政府・与党に挑む際には「権力者」と煽りながら相手を攻撃すれば効果的となる。しかし、「庶民革命」を掲げる河村氏は県知事や議会と衝突を繰り返しながら政策を推進し、報酬削減や減税政策などによって5回の当選を重ねてきた人物だ。 これに対し、大塚氏は国会で対立する与党と野党が推薦し、出陣式には与野党の国会議員が勢揃いした。大塚氏は河村市政を「対立と迷走」と批判したものの、河村氏が改革の反対勢力としてきた「既成政党」サイドに大塚氏が推される構図は決してプラスにはならなかったと言える。
「権力者」は既成政党サイドと映ったのだ
これは11月の兵庫県知事選の構図も似ている。つまり、「権力者」は河村氏や広沢氏の方ではなく、既成政党サイドと映ったのだ。これではチャレンジャーが勝利できないのは当然だろう。 ちなみに、名古屋市の対外的な評価は決して低くない。森ビル系シンクタンクの森記念財団都市戦略研究所が発表した「日本の都市特性評価」(2024年版)によれば、東京23区を除く主要136都市では名古屋市が都市ランキングで全国2位となった。「生活・居住」「研究・開発」は1位で、魅力ある都市として高く評価されているところだ。 抜群の知名度と強引な手法で毀誉褒貶がつきまとうものの、今回も選挙に強い「モンスター」ぶりを見せつけた河村氏。共同代表を務める日本保守党は国政で3議席しかないものの、来年の参院選や今後の衆院選でどのような「マジック」を見せるのか。その影響は2027年に予定される愛知県知事選や今後の国民民主党の党勢にも影響しそうだ。
佐藤健太