「怖かった!」金田久美子が感じた20年前の女子ツアー。13歳でツアーデビューの須藤弥勒にもエール
「不動選手は同じ飛距離ですが、中身の質が違って、精度や寄せ方がすごい勉強になりました」と先輩プロからゴルフを学び、「どうやったら緊張しませんか?」「どういう選手が怖いですか?」という質問には「怖いと思った時点で負けてるんだよ」とアドバイスをもらうことができた。 ゴルフを競い合う同じ舞台にあって、体育会系とか先輩後輩とか関係ない雰囲気が今の女子ツアーにはある。 また、金田にとっての怖さとはツアーの雰囲気だけだはなかった。 「試合が怖かったのは雰囲気もありましたけど、飛距離の問題も大きくありました。やっぱりその当時は今より飛ばなかったですし、パー4でパーオンできないホールもいくつかありました。そんな経験もあり、飛距離を伸ばしたいと練習したり、アプローチの技術を磨いたりと勉強もできました。弥勒ちゃんの飛距離がどれくらいかわかりませんが、ツアーの飛距離も伸びているし、たいへんだと思いますけど頑張ってほしいですね」
先輩プロの教えも財産になった
「飛距離の怖さ」は金田がツアーで戦う上でレベルアップのきっかけでもあった。「怖さ」はマイナスなことばかりではなく、金田の糧になり、多くはプラスに働いている。 大先輩の樋口久子が冠大会の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」で涙の2勝目を飾った33歳当時の金田はこんなことを話している。 「アマチュアのときからプロの試合に出させてもらって、樋口さんに怒られることが結構ありました。温かいお叱りの言葉を何度もいただいて……。でも最近は怒られなくなって、ちょっと成長したのかなと思ったりもしました。そういうときに樋口さんの大会で勝てて、樋口さんの娘さんとも仲良くさせてもらっていてごはんも一緒に行ったりとか。あれだけ怒られてきた自分が樋口さんの大会で勝てて、すごく変な気持ち! うれしかったです」 ツアーが怖かったことも、先輩プロに叱ってもらったことも、金田が2009年にプロデビューし、35歳になった今でもツアーで活躍できる"財産"のひとつ。先輩プロたちから多くを学んだことに金田は感謝している。 ツアーは仲が良いだけでは成長できないのも金田が一番感じていることだ。 小学生や中学生でツアーに出場し、プロになれなかった選手やプロになれたとしても長くツアーで活躍できなかった選手のほうが多い厳しい女子プロゴルフの世界。 今週ツアーデビューする須藤弥勒は、金田が初出場した時代とは違うツアー環境でどう戦うか。今後プロを目指し、10年後、20年後、どんなプロゴルファーへと成長しているか、楽しみだ。 ※金田久美子と須藤弥勒では初出場の年齢規定が違う 2016年までは"年齢にかかわらず"学校長の承諾があれば出場できたため、金田は11歳347日でツアーに出場できたが、2017年の規定改正により、須藤は満13歳以上の規定を満たしたことで、ニトリレディスからツアーに出場できるようになった。 ●2016年までの規定 第7条(臨時登録者) ③【臨時登録アマチュア】 アマチュア資格を有する者は、主催者推薦によるLPGAツアー競技への出場のため、臨時登録アマチュアの登録をすることができる。 主催者は、義務教育中の選手を主催者推薦する場合は、事前に当該選手が通学している学校の長から書面による承諾を受けなければならないものとする。 ↓ ●2017年よりJLPGAトーナメント規約で、臨時登録アマチュアの条件を「満13歳以上、原則JGA/USGA HDCP Index10.0以下の者」へ変更 ※2024年8月22日8時34分、9時16分一部修正しました
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