新時代に突入した地球 過去100年分の地層データにみる「人新世」の始まり…人が求めた豊かさの代償とは
かつてないスピードで変化を遂げる地球環境。その変化を物語る‟痕跡”が海底に残されています。
濃淡の異なる縞模様を描く堆積物。一本一本の縞は1年ごとに海底に降り積もった泥や砂で過去100年にも及ぶ地層データが詰まった「地球史のタイムカプセル」です。 そこに記録されていたのは…第二次世界大戦後急速に科学技術を進歩させ、かつてない速さで物質を消費してきた人類が、地球環境に負荷を与え続けた痕跡でした。 加 准教授: 「今の地球環境とはまったく別の姿に移り変わってしまうということが起きる。リスクを背負う時代が実は人新世なんじゃないかと」
46億年に渡る地球の歴史の新たな地質時代として提唱される「人新世」。 それは、私たちが豊かさを求める代償に地球環境を破壊し続けてきた時代です。
海底の地層から読み解く地球環境の変化
愛媛大学沿岸環境科学研究センターです。 加 准教授: 「パイプを下げると泥が出てくるんですよ。その泥を2cm間隔でスライスして今から袋に入れます」 地質学が専門の加 三千宣(くわえ・みちのぶ)准教授です。 加教授: 「古環境という昔の環境を知る指標がいろいろあるんです。DNAとかマイクロプラスチックとか」 Q.今切っているのは? 「100年前くらいですかね。きれいだった瀬戸内海の海の堆積物だと思います。100年前はプラスチックは使われてなかったはずなのでこの中には入っていないはず」
海底の地層に含まれる成分を分析することで、過去から現在にかけての地球環境の変化が読み取れるのです。 「この中にこれまでの地球の歴史とか、人間が地球に与えてきた環境に与えてきた影響とかそういう情報がいっぱい詰まっているので」
人類によって激変し「人新世」に入った地球
地層に残る生物の化石などを元に区分される地質時代。 46億年の地球の歴史は先カンブリア時代に始まり、古生代、ジュラ紀や白亜紀などの中世代。 そして新生代となり、現代は1万1700万年前から続く「新生代第四紀完新世」とされています。 しかし第二次世界大戦以降、世界経済は急成長。加えて、核兵器の開発や実験が本格化します。