新時代に突入した地球 過去100年分の地層データにみる「人新世」の始まり…人が求めた豊かさの代償とは
向かうのは自宅から歩いてすぐの海岸です。 今岡さん: 「ここへ来たら眺めるんよ。魚もおるし、カモメもいっぱいおるし」 家族との思い出がたくさん詰まった海岸でのゴミ拾いが、ハル子さんの日課です。 「すごいんじゃけん。ペットボトルの蓋とか大きいのはよう動かさんけんね。細かいのだけ拾うんよ」
砂浜に打ちあげられたペットボトル、空き缶、ポリタンク… 「きりがないわい。これひっくり返したらなんぼでも出てくるよ」 長浜の海を汚しているゴミは、私たちの日常を便利にしているモノばかりです。 自動車や家電産業の成長に伴って鉄鋼業や石油化学工業が発展し、例を見ないスピードで日本が急成長した高度経済成長期。 あらゆるモノに支えられ、暮らしは便利で豊かなものに変わりました。
日本のGDPが伸びるとともに 地質に刻まれた環境破壊の痕跡
別府湾の地層からもその痕跡が現れます。半導体を洗浄する際に使われた毒性の強い化学物質や、石油や石炭から出るススなどの汚染物質。 プラスチックが細かく粉砕されたマイクロプラスチックなどその数86種類。 環境を破壊した痕跡の増加は、日本のGDPの伸び率と重なります。 加 准教授: 「産業、人口の増加とかあるいは経済活動の活発化。それが地球環境に様々な形で影響を及ぼしたと。これはまさに人が地球環境に与えた影響が甚大になってきたんだなと。まさに人新世が始まったんだなと。地質学的な証拠になるんだということで、別府湾のこのシグナルというのが地球史の一つのターニングポイントになるんじゃないかなと思いました」
このままいくと北極の氷床が消えてしまう!?
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素。去年、世界の二酸化炭素の濃度は解析を始めた1984年以降過去最高を更新するとともに、平均気温も統計開始以降最も高い値を記録しました。 加 准教授: 「グリーンランドの氷床が溶けるのを止められないというタイミングが7年後に迫ってる、最短でね。いったん溶けた水というのは氷にはもとに戻らないので、北極域に氷床がない時代になってしまう」