運転手不足に悩むバス会社が仕掛けた「バズり大作戦」 待ったなしの「2024年問題」、自治体による大胆支援策も
今年9月には大阪府の4市町村で路線バスを運行する金剛自動車(大阪府富田林市)が12月で路線バス事業から撤退すると発表し、業界に激震が走った。 ▽減り続ける大型2種免許保有者 路線バスを運転できる大型2種免許の保有者が深刻なレベルで減っている。警察庁の運転免許統計によると、2002年時点での保有者数は約118万5千人だったが、2022年時点では約80万2千人に落ち込んだ。20年間で3割も減った。 国も手をこまねいて見ているわけではない。大型2種免許の免許取得者を増やそうと、道路交通法を2022年に改正して条件を緩めた。これまで「21歳以上かつ普通免許保有3年以上」だったが、特別な教習を受ければ「19歳以上かつ普通免許保有1年以上」とした。 国交省は外国人労働者の在留資格「特定技能」の対象にバス運転手を加える方向で検討している。 ▽運転手として移住で400万円?行政も事業者支援へ
運転手確保に向け、自治体が事業者をサポートする動きも広がってきた。大分県別府市は今年7月、県外在住の「就職氷河期」世代を対象に、市内に移住してバス、タクシーの運転手になると最大400万円を支給する制度を創設した。市民や観光客の移動手段を確保するためで、政府の補助金を活用する。 別府市によると、市内のバス事業者は2社で計30人の運転手が足りていない。制度の創設後、問い合わせが100件以上あり、面接まで進む人もいた。関東圏からの移住希望もあったという。大胆な戦略に出た背景には、2024年問題だけでなく、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」への危機感もあった。 政策企画課の担当者は「全国的な問題で、事業者が限られたパイを奪い合っている状態。早い段階で動き出すことが必要だ」と強調する。さらに「事業者任せではなく、行政も連携して住民、観光客の移動手段を確保しなければいけない」と話した。