アドマイヤテラ（左）とメリオーレム（右）

［ＧⅠ菊花賞＝２０２４年１０月２０日（日曜）３歳、京都競馬場・芝外３０００メートル］ 　いよいよ間近に迫ったクラシック最終戦・ＧⅠ菊花賞（京都芝外３０００メートル）。このラスト１冠を決する舞台に、西の名門・友道厩舎はメリオーレム（牡）、アドマイヤテラ（牡）の２頭を送り出す。 　メリオーレムは秋始動戦のＧⅡ神戸新聞杯で５着。大舞台でのリベンジに燃える１８日は、ウッド半周の微調整を行った（４ハロン６５・６―１４・０秒）。「もともと表情を出す馬ではないので、変わりなくこれています」と友道調教師は中間の気配を伝える。 「もともと叩いて良くなるタイプ。先週も（川田）ジョッキーが乗って『良くなっている』と言っていました」と認めるように、状態面に関しては確実に上昇カーブを描いていると判断してよさそうだ。騎乗予定だった川田の負傷による乗り替わりは大きな誤算だが、これまで４人の騎手とコンビを組んで一度も掲示板を外していない堅実さは頼りになる。 　メリオーレムの父シュヴァルグランは、友道厩舎に所属して２０１７年のジャパンＣを制した。２頭の共通点をトレーナーに尋ねてみると…。「体も似ていないですし、お父さんの面影はありませんね」とキッパリ。ただ、「シュヴァルグランは菊花賞に出られなかったですからね。（メリオーレムのほうが）現状の完成度は高いと思います」というジャッジだ。７月の小倉２６００メートル戦では後続を４馬身突き放して快勝しているように、長距離適性は確か。父が果たせなかったクラシック制覇をラスト１冠で目指す。 　一方、夏の条件戦を経て菊の舞台に挑むアドマイヤテラも楽しみな一頭だ。こちらも１８日はウッド半周のメニューを消化（４ハロン６２・９―１４・３秒）。「常歩（なみあし）を見ても、リズム良く歩けています。いい感じですよ。体重も減っていた分が戻ってきました」と友道師は充実ぶりに目を細める。 　これまではテンの遅さが課題だったが、「札幌（阿寒湖特別２着）くらいから自分で行くところを見せています。これまでは押して押してでしたが、前進気勢が出てきて成長を感じますよ」（友道師）。レースを積み重ねるごとの成長を実感している。 「春が終わった時点で、『夏は長い距離を使って菊花賞に行ければいいね』と話していました」と描いた青写真の通り、まさしく狙い澄ました一戦だ。しかも、菊花賞で歴代最多の５勝を誇る武豊がその手綱を取るのは何より頼もしい。 　こちらもメリオーレムに劣らず、デビューからの６戦で５着以下がないという堅実な戦績だ。２頭とも伏兵の域を出ない下馬評だが、友道厩舎といえば芝の中長距離に屈指の実績を誇る名門。長丁場を意識したローテを歩んできた２騎なら、大駆けがあっても決して不思議ではない。