ザック・セイバーJr.が熱弁、音楽から触発された独自のプロレス哲学、TMDKの野望
大岩陵平と藤田晃生をTMDKに招いた理由
―新日本プロレスに所属する選手の中でなぜこの2人をTMDKに招いたんですか? ザック選手の思う、おふたりのプロレスラーとしてのストロングポイントやチャームポイントを教えてください。 ザック ふたりをTMDKに加入させたいと思ったのは、彼らのデビュー戦を観たことがキッカケかな。当時はコロナ禍でいちばん厳しい状況だったね。ファンの声援もなく、彼らも、4カ月しか準備期間がない中での試合だった。でも、彼らのデビュー戦は今までオレが観たデビュー戦の中でかなりトップクラスだったよ。厳しい状況の中でもふたりのプロレスへの熱い思いが伝わってくる試合だったね。 ―ザック選手にも刺激を与えるほどの試合だった。 ザック そうだね、まだまだ経験が浅い選手たちがああいった試合を出来ることはすごいことだし、自分自身も選手としてレベルアップしないといけないという気持ちになったね。自分も何か覚醒した試合だったよ。だからこのふたりと絶対に一緒にやりたいと思ったのさ! ヤングライオン時代にふたりの個性が見えたしね!いろいろ興味深かった当時だね。 ―それを踏まえて、おふたりの印象は? ザック フジタはニヤニヤしながら皮肉系なことを言うタイプかな。英語で言うと「cheeky(チーキー)」なボーイ。そういった性格がプロレスから垣間見ることが出来るね。オオイワは静かで我慢ができるタイプかな。ヤングライオンの時代からそういった個性が見えることってあまりないんだよね。だからオレが二人の性格に気付いたときファンにも共有したいと思ったんだよ。自分のコスチュームを着せたり、自分が連れ添ってリング内外での姿をヤングライオン時代からファンみんな皆に見せたかったんだよ。 ―ものすごい賛辞だと思いますが、藤田選手と大岩選手はザック選手の言葉を受けていかがですか? 藤田 合っていると思います(笑)。当時、ザックさんは鈴木軍だったんですけど、気にかけてくれていることは分かっていました。試合前、リングで練習していると技術を教えてくれることもあったんですけど、その教え方が「ここ!」というポイントを的確に教えてくれる。それが分かりやすかったし、自分には合っていました。堅い感じもないので、気になっていることをすぐ聞ける環境もよかったです。 大岩 確かに僕も寡黙なタイプですね(笑)。練習では藤田が言うようにずっと見てくれていましたね。自分は、ヤングライオン時代にNEW JAPAN CUPでシングルマッチをやらせていただいているんですけど、今までにないくらい関節を取られましたし、頑張って取り返してもすぐに取り返される、考えられないくらいの試合をしていたので……。その試合を経て、さらにザックさんのプロレスに興味が出ました。 ―デビュー戦についてもザック選手は言及されましたけど、おふたりにとっても手応えのある試合だったんですか? 藤田 当時は、そこまで考える余裕はなかったです。バタバタで試合が終わって気付いたら汗だく。試合内容も時間が経ってからちゃんと考えられるようになったくらいだったので。 大岩 僕も試合直後は、真っ白で何も覚えてない状態でした。後に映像を観てこんなことをしていたんだなと確認した感じです。 ―ザック選手を含め、いろんな先輩から声を掛けていただいた? 藤田 それはありましたね! 大岩 でも、当時はデビューすることがまず最初の目標でもあったので。先輩にどう思われているかなんて気にしている余裕はなかったので。でも、改めていまザックさんにそう言っていただけて嬉しいです!