ザック・セイバーJr.が熱弁、音楽から触発された独自のプロレス哲学、TMDKの野望
新日本プロレスの年間最大のビッグマッチである1.4東京ドーム大会「WRESTLE KINGDOM 19 in 東京ドーム」は今回オレンジ色に染まるかもしれない。新日本プロレスの至宝・IWGP世界ヘビー級のベルトを現在、腰に巻く、ザック・セイバーJr.率いるユニット・TMDK。彼らが昨今の新日本プロレスにもたらす影響力と存在感は絶大。その理由は今回のイッテンヨンの対戦カードを見れば明白だ。NJPW WORLD認定TV選手権 3WAYマッチに挑む大岩陵平、IWGPジュニアタッグ選手権4WAYマッチに挑む藤田晃生、そしてメインイベントをIWGP世界ヘビー級王者として務めるザック・セイバーJr.。今回は1月4日にタイトルマッチを控えるTMDKの3選手にインタビューを敢行し、3人の素顔、そしてTMDKとはどんなユニットなのか紐解いていく。 【画像】TMDKの撮り下ろし写真を見る ―現在の新日本プロレスでTMDKの注目度は非常に高いと思います。それはもちろんザック選手がIWGP世界ヘビー級のベルトを巻いたことも大きな理由ですが、藤田選手、大岩選手という若い世代のおふたりの注目の集め方もユニットとしての存在感に繋がっていると思います。皆さんはTMDKの面白さをどのように感じていますか? 大岩 自分の土台、プロレスリング・ノアで学んできたことを中心に話すと、受け身の部分でノアと新日本では全く異なります。ノアではどういう形で落とされても猫のように受け身を取れるように練習していて。だからこそ、やられてもやられても立ち上がり、そこから丸込みを狙って勝つというプロレスも出来るようになった自負もあるので、そういう意味ではノアで学んできたことも新日本で出していきたいなと思っています。 ―大岩選手は武者修行をノアで積まれたという稀有な存在ですよね。それこそ猫のような受け身というのはノアの創設者である三沢(光晴)さんもよく言われてました。いわゆるバンプという意味で異なるんですね。 大岩 僕はそう思っています。そういった面で他のユニットとは異なる戦い方を今後も見せていきたいと考えています。 ―一方で藤田選手は、短期間の海外遠征から凱旋しジュニア戦線で存在感を放っていますが、TMDKについてどう考えていますか? 藤田 すごく自由なユニットで自分の持っている色がより濃く出来ると思っていますね。他のユニットであれば、先輩・後輩という上下関係があると思いますけど、TMDKにはそれが全く存在しない。もちろん最初のころは先輩・後輩という関係性を考えて接していましたけど、ザックさんから「上下関係は気にしないでいい」と言われ、そこからある程度吹っ切れたし、今は馴染んで楽しくやっています。 ―ある種、今の時代にいちばんフィットするユニットなのかもしれない。 藤田 そうですね。日本人特有の縦社会を重んじる方とは少し違い、個を大事にするユニットですね。それが自分にはまっていました。 ―ザック選手は、IWGP世界ヘビー級のベルトを保持してユニットの先頭に立ち引っ張っていく立場ですが、TMDKの面白さをどこに感じていますか? ザック TMDKにはいろいろな要素が入っていると思うね。それこそ結成は、マイキー・ニコルスとシェイン・ヘイストという2人のオーストラリア人選手が発足したユニットだし、そこからノアへと移って日本でも活動するようになったね。だからオーストラリア生まれ日本育ちのユニットと言って過言ではないよ。それと同時にオレもマイキーもシェインもノアで経験したことをすごく大事に思っているんだ。 もしかするとその3人がノアに残っていれば、現在のTMDKの体制はノアで生まれていたのかもしれないと思うくらいなんだけど、当時はみんなそれぞれの道を選び、ニュージャパンで合流することになった。あまり運命という言葉は使いたくないけど、今のTMDKがこのメンバーになったことは当たり前の流れだったのかなと思っているよ。 ―なるほど。 ザック TMDKの意味は「ザ・マイティ・ドント・ニール」。意味は「くじけない強さ」。オレ自身もそういう気持ちを常に持ってプロレスをやっているし、くじけずにやってきたことで20年という月日は掛かってしまったね。その苦労が実を結んでようやくニュージャパン最高峰のベルトを獲ることが出来たと思っている。 ―メンバーの構成が外国人選手のみならず藤田選手と大岩選手という若い世代の日本人選手を加入させた理由とは? ザック 全員が外国人になってしまうのも良かったけど、イケイケの若手日本人選手を入れることでユニットの独自性を見せたかったんだ。ニュージャパンのトップユニットを目指すなら、他とは違う差別化したオリジナリティが大事だと思ったんだよ。