史上最速100店舗を達成した「から揚げの天才」わずか3年で店舗数が10分の1に…好調の“業界トップ”と分かれた明暗
著しく店舗数を減らした「から好し」
唐揚げ業界2位の「からやま」は、かつ丼チェーン「かつや」と同グループでアークランドサービス傘下のエバーアクション株式会社が運営しており、2022年12月末時点で122店舗出店している。かつやと同様に来店客に次回利用できる100円割引券を配布しており、看板定食はからやま定食(4個入、792円税込)だ。12月には年末大感謝祭を実施しており、筆者が訪れたときは営業開始からすでに客席が埋まっていた。 2010年には関西圏での店舗展開力を強化するため、SRSと資本・業務提携を締結し、サト・アークランドフードサービスを共同出資で設立し、関西圏でのエリアフランチャイジーとして協力関係を構築している。2024年3月末現在で関西11店舗(大阪10店舗/兵庫1店舗)を展開中だ。SRSは前出の鶏笑も傘下に有している。唐揚げ市場において、鶏笑はテイクアウト事業、からやまは店内飲食と棲み分けを行っている。 業界3位はすかいらーく傘下の「から好し」だ。すかいらーくグループのスケールメリットとグローバルネットワークを活かした調達力が強みだが、2021年では約90店舗あったのが、現在では56店舗と著しく店舗数を減らしている。しかしながら、同じグループ傘下で、全国1246店を誇るファミレスチェーン・ガストでから好しの売れ筋商品を販売しており、ブランドの生き残りを図っている。
唐揚げ専門店の持続経営は難しい
唐揚げ専門店は、低投資で運営ノウハウも比較的容易であるため、参入障壁が低く、店が乱立している。 経営のメリットは、①初期投資が低く投資回収が早い、②狭小店舗でも出店可能。③オペレーションも単純化できアルバイトのワンオペでも運営可能、④FC展開しやすい、⑤牛肉や豚肉に比べてまだ安価で供給量も安定などがある。 また、飲食店経営の重要経費である(F)食材費(L)人件費(R)賃料)などが低く、損益分岐点の低い経営も可能である。子供のおやつ、酒のつまみ、弁当やテイクアウトで冷めても美味しく食べられるから便利な商品でもある。 一方、テイクアウト事業だけでは客単価が上がらず、店舗としては売上アップのモチベーションにつながらない。店舗内にイートインコーナーを設置し、アルコールや定食などを提供する店もあるが、お客の回転率を高め、坪効率を高めないと継続は難しい。これからの唐揚げ専門店は、これらの課題を解決できた店が生き残れるだろう。 <TEXT/中村清志> 【中村清志】 飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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