【菊花賞回顧】長距離戦で光った名手たちの手腕 アーバンシックの勝利で再び脚光浴びる「ランズエッジ」と「ハービンジャー」
ルメール騎手に呼応した武豊騎手
2着ヘデントールは重賞初挑戦ながら、ハイレベルだった日本海Sでみせたパフォーマンスをここでも発揮した。 アーバンシック、アドマイヤテラの仕掛けに対し、手応えで見劣りながらも、直線でしっかり加速して2着まできた。全体的に底力を問う流れだったからこそ、価値ある2着といえる。 今後は激戦区の中距離路線に身を置くことになるが、重賞制覇は近い。うまく賞金を加算し、大舞台に戻ってきてほしい。 3着アドマイヤテラはルメール騎手の仕掛けにいち早く反応し、末脚勝負を避け、あえて先へ行った。末脚比べでは分が悪いが、ここで仕掛ければなにかを起こせる。武豊騎手の冷静な判断が光る。 レイデオロ産駒は全体的に成長が緩やかであり、秋から来春にかけて、アドマイヤテラのように重賞戦線に食い込む馬が出てくるだろう。こちらも目を離せない。 4着ショウナンラプンタもアーバンシックの仕掛けに食らいつきつつ、最後までインで距離ロスを抑えていた。完璧に近い競馬だったが、最後の最後でスタミナが尽き、4着に。長距離は間違いなく合う。この一戦で中距離へシフトせず、来年の天皇賞(春)を目指し、能力の底上げにつとめてほしい。 5着にはビザンチンドリーム。きさらぎ賞から一貫して遅れ差しの形。最後に時計を要する流れになれば、上位食い込みもある。その反面、どうしても勝ち味に遅い。菊花賞5着は人気に推される材料になるが、メンバー構成によっては嫌うのも手だろう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳