「第三セクター等」の収益(売上高)が過去最高 三セク等の4割が経常赤字、変わらぬ“補助金頼り”
収益総額(売上高)は過去最高の6兆9,493億円、コロナ禍中でも前々年度比9.5%増
2022年度の三セク等の総売上高を示す収益総額は、過去最高の6兆9,493億円(前々年度比9.5%増)だった。内訳は、第三セクター(同4.9%増)と地方独立行政法人(同23.6%増)が増加、地方三公社(同3.7%減)が減少した。コロナ禍のなかで、地方独立行政法人が法人数増加に伴い初めて2兆円台に達し、収益総額を押し上げた。
「経常赤字法人率」2022年度は過去11年間で最大の40.6%
2022年度の決算が判明した三セク等(対象:5,987法人)のうち、経常赤字は2,435法人で全体の40.6%を占めた。前々年度(40.1%)から0.5ポイント上昇し、2011年度(40.4%)を僅かに上回り、過去11年間で最大を記録した。2015年度に35.5%まで低下し、その後、緩やかな上昇に転じ、コロナ禍ではほぼ横ばいで推移している。 業務分類別の経常赤字法人率は、2022年度は「社会福祉・保健医療」が53.3%で最も高く、国際交流協会などの「国際交流」49.5%、私学振興協会や体育協会を含む「教育・文化」49.2%が続く。対照的に、システム開発などの「情報処理」が18.8%で最も低く、公営住宅管理などの「住宅・都市サービス」28.0%、水道事業やごみ処理業などの「生活衛生」28.8%の順で低い。
「債務超過法人率」は4.3%、2020年度以降4%台で推移
2022年度の三セク等の債務超過は263法人で、全体(5,987法人)の4.3%だった。前々年度(4.4%)から0.1ポイント低下したものの、4%台にとどまった。 業績不振が続く三セク等の経営改善や整理のため、政府は2009年度から三セク債利用を促し、抜本的改革に向けた動きが進んだ。その結果、債務超過に陥った法人比率は2011年度の5.1%から2017年度は3.7%まで低下した。しかし、経営改善が一巡したところへ、コロナ禍の業況悪化が追い打ちをかけ、2020年度から4%台に転じている。
債務超過法人比率 地方独立行政法人で改善進む
三セク等の赤字法人比率を区分ごとにみると、「地方三公社」が42.0%で最も高い。次いで、「第三セクター」(社団法人・財団法人、会社法法人など)が40.9%、「地方独立行政法人」(医療機関、公立大学法人、産業技術センターなど)が24.3%だった。 債務超過法人比率では、「地方三公社」が4.6%(前々年度4.4%)で最も高く、「第三セクター」4.4%(同4.4%)、「地方独立行政法人」が1.8%(同4.7%)の順。「地方独立行政法人」で財務内容の改善が目立った。