阪神はV奪還へ「現在地」把握せよ FA有資格者の動向踏まえた戦力整備が来季を左右する 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
国内フリーエージェント(FA)権を有する大山悠輔内野手(29)の流失危機の中、藤川球児新監督(44)率いる阪神は戦力的な「現在地」を確認し、チーム強化に乗り出さなければなりません。SMBC日本シリーズは、セ・リーグ3位のDeNAがパ・リーグ覇者のソフトバンクを4勝2敗で下し、26年ぶりの日本一。阪神はDeNAにクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージで2連敗を喫し、今季を終えています。レギュラーシーズンは貯金2のDeNAに対し、阪神は貯金11の2位。DeNAが〝下克上〟で日本一になった結果を阪神はどう受け止めるのか-。自らの力量を見誤った戦力整備をするならば、来季にツケを払うことになります。 【写真】ブルペンで金村暁投手コーチと話す阪神の藤川球児監督 ■13年目で悲願成就 DeNAがソフトバンクを11-2で破り、4勝2敗で日本一を勝ち取った第6戦の後、DeNAの南場智子オーナー(62)が発した言葉が印象的でした。 「生きててよかった!」 DeNAが横浜ベイスターズの経営権を取得したのが2011年オフ。最初の4シーズンはすべてBクラスでした。球団の経営改革やチーム強化に乗り出してから13シーズンかけてたどり着いた日本プロ野球界の頂点の〝味〟は、さぞ格別だったはずです。これまでの苦労、周囲から受けるさまざまなプレッシャーを思い出すとき、思わず口をついて出た言葉が「生きててよかった!」だったのでは?と推察します。 ■2連敗から4連勝 レギュラーシーズンの成績は71勝69敗3分けの貯金2。夏場まで首位を走っていた広島の歴史的な失速(最終的には68勝70敗5分けの借金2で4位)がなければ、CSの出場権も得られなかったでしょう。 その位置からファーストステージで阪神に2連勝。ファイナルステージでは、リーグVの巨人を4勝3敗(巨人に1勝のアドバンテージ)で破り、日本シリーズ出場権を得ました。パ・リーグの覇者ソフトバンクは、レギュラーシーズンでは貯金42(91勝49敗3分け)の独走Vでしたから、戦前の予想は圧倒的にソフトバンク有利でした。それが日本シリーズでは2連敗の後、怒濤(どとう)の4連勝で日本一。 南場オーナーの歓喜の言葉、三浦大輔監督(50)の感涙を見ると、勝者だけが得られる特別な空間を感じます。それは昨季、岡田彰布前監督(66)の下で阪神が満喫した感覚でもあります。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶり2度目の日本一に輝きましたね。岡田前監督の日本一の舞いは昨年の11月5日でした。胴上げの回数は今回の三浦監督と同じ5度でした。