600cc~900ccクラスがなぜ増えた? 大型バイクの初心者やベテランに最適なワケ
600ccクラスなら100万円台からある。値段も「ちょうどいい」
CBR650Rは、筆者にとって、価格面でも「ちょうどいい」バイクだといえます。 現行モデルの3代目ハヤブサは、価格(税込み)215万6000円。また、1000ccを超えるスーパースポーツや高級ツアラーなどには、240万円台~300万円台のモデルもあります。 一方、600ccクラスのバイクであれば、100万円を少し超える程度で買えるモデルも多いため、お財布にはより優しいといえます。筆者が乗る2020年式CBR650R(グランプリレッド)の車両価格は、税込みで108万9000円でした。新型でも、E-クラッチなしのスタンダード仕様で110万円、E-クラッチ仕様車が115万5000円~118万8000円です。 ほかにも、600ccクラスでは、100万円台~120万円台といった価格帯のバイクも多く販売されています。もちろん、より排気量の大きい900ccクラスになると、例えば、ヤマハの新型XSR900GPで税込み143万円、根強い人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズでは、148万5000円~170万5000円と高くなりますが、いずれにしろ、200万円以下で購入可能です。 もちろん、例えば250ccなど、より排気量が小さいクラスの方が価格は安いですよね。スクーターなどモデルによっては30万円台~40万円台、スポーツモデルになると50万円台~90万円台とやや高いですが、車検がないから維持費は安くなります。 でも、やはりミドルクラスのバイクの方が、走りなどに余裕があるのも確か。好みやスキル、体格や収入などには個人差があり、一概にはいえないため、あくまで私見ですが、予算と走りのバランスが「ちょうどいい」クラスのひとつが、600cc~900ccのモデル群ではないかと思います。
大型バイク初心者にもおすすめな理由
以上、主に筆者の体験から、オジさんライダーにとって、600cc~900ccミドルクラスのバイクがいかに最適かを紹介しました。 でも、これもあくまで私見ですが、ここで紹介したメリットは、大型バイクを取得したばかりの若い初心者ライダーなどにも、当てはまることが多いのではないでしょうか。 まず、1000ccオーバーの大型モデルと比べ、車体がコンパクトで軽い点。若いライダーであれば、筆者よりも体力はあるでしょう。でも、これも個人差はあるでしょうが、大柄なバイクの扱いに慣れていないと、例えば、細い路地などでの低速Uターンや、狭い駐車場での取り回しは大変です。 特に、筆者のように身長160cm台の小柄なライダーや、重いモノを押したり引いたりするのが苦手な女性ライダーには、重いバイクはハードルが高いもの。そうしたライダーにとっては、まずはより軽いミドルクラスのバイクで慣れてから、1000cc超のバイクにステップアップした方がいいかもしれません。 また、パワー面も同様。250ccや400cなどのバイクでは、例えば、フルカウルモデルのホンダ・CBR250RRで最高出力42PS。普通二輪免許で乗ることができる最大排気量を持つ同じホンダのCBR400Rでも、最高出力は45PSです。 そんなバイクに乗っていた人が、大型二輪免許を取ったからといって、いきなり200PSを超す1000ccスーパースポーツなどを上手く操るには、かなり慣れが必要になるといえます。まずは、100PS以下、よりハイパワーでも120PS程度までの600cc~900ccクラスに乗って、慣れるほうが安全ではないでしょうか。 そして、価格面。もちろん、予算さえあれば、どんなに高いバイクでも買えます。でも、特に、学生や社会人になりたてなどの若い世代は、200万円を超える価格だと、なかなか手が出しにくい人も多いでしょう。 また、ベテランライダーでも、子育て費用や住宅ローンなどで、あまり大きな出費ができない人もいるはず。そうしたライダーたちにとっても、600cc~900ccのバイクは、比較的に手が出しやすい価格帯なのだと思います。 近年、各メーカーがミドルクラスのラインアップ強化を図っている背景には、ここで挙げたように、大型バイクの初心者からベテランまで、幅広いライダーに最適なことも理由のひとつなのかもしれませんね。
自分のスキルや体格、好みに合った排気量のバイクが結果的に楽しい
いずれにしろ、自分がどんなバイクに乗るかは、基本的に、免許さえあれば個人の自由。だから、大型二輪免許を取ったばかりの初心者などが、いきなり大排気量バイクに乗ってもいいのは当然です。 ただし、自分のスキルをはじめ、体格や体力にマッチしたバイクに乗ることは、安全にも繫がります。もちろん、1000ccを超える大排気量バイクが持つ高いハードルを乗り越えて、自在に乗りこなせるようテクニックを磨くこともバイクの醍醐味です。 でも、それは、自分が怪我をしたり、周りに迷惑をかけない範囲でのこと。これからバイクを選び、購入を考えている人は、参考にしてもらえれば幸いです。
平塚直樹