600cc~900ccクラスがなぜ増えた? 大型バイクの初心者やベテランに最適なワケ
100PS前後の扱いきれるパワーが「ちょうどいい」
CBR650Rの最高出力は、95PS/12000rpm。2代目ハヤブサ(最高出力197PS)や最近の200PSを優に超える1000ccスーパースポーツなどと比べると、100PS前後少ないパワーです。でも、筆者にとって、実は「ちょうどいい」パワーだと感じています。 もちろん、超パワフルなハヤブサの加速感は、かなりエキサイティングです。最近、3代目の現行ハヤブサにも試乗する機会がありましたが、圧倒的な動力性能は変わらずで、感動的でもありました。 でも、日本の公道では、200PS近いパワーを使い切れる場所はあまりないのも事実。高速道路での合流や追い越しなどでも、CBR650Rの95PSで十分な加速を得られます。また、山道などの長い登り坂などでも必要十分といえるでしょう。 もちろん、トルクフルなハヤブサなど大排気量バイクの方が、ロングツーリング時に高速道路を巡航するときなどは楽。あまりギアチェンジをせずに、6速トップをキープ、もしくは1段落として5速で走れることが多かったですし、回転数もあまり上がらないため、振動も少ないといったメリットもあります。追い越しなどの加速時に、4速まで落とす場合もあるCBR650Rと比べると、高速巡航などで快適なのは間違いありません。 でも、例えば、ワインディングやサーキットなどでスポーツライディングをする際には、軽い車体のCBR650Rの方が楽しく乗れます。もちろん、ハヤブサであれば、サーキットの直線では200km/h以上を軽く出せます。でも、筆者には、あまりに速度が出過ぎてしまい、コーナー進入での減速時は、「ちゃんと止まれるのか」とハラハラです。 特に、ハヤブサは、車体が重いこともあり、ブレーキをコーナーのかなり手前でかけていました。それに比べると、より軽いCBR650Rの場合、ブレーキングポイントもかなり奧に取れるようになりましたし、コーナーを曲がる時の軽快感も全然違います。 ちなみに、筆者は、ヤマハの1000ccスーパースポーツ「YZF-R1」に、袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉県)という、タイトコーナーも多い1周2436mのサーキットで試乗したことがあります。 ヤマハMotoGPワークスマシン「YZR-M1」のテクノロジーが投入された憬れの1台。しかも、車両重量は201~202kgと、CBR650Rより軽くできています。 でも、正直にいえば、最高出力200PSのパワーと軽い車体などが生む動力性能は、筆者にとって異次元。あまりの速さに目が追いつきませんでした。コーナー出口の加速が鋭すぎて、あっという間に次のコーナーが迫り、そこをクリアするとまたすぐに次のコーナー。その連続に、目や体が徐々に対応できなくなった記憶があります。 余談ですが、同年齢のバイク店社長で、若い頃にレース経験もある知人も、同様に、「1000ccスーパースポーツでサーキットを走ると目が追いつかない」といっていました。筆者も知人も、16歳で免許を取り、ずっとバイクに乗り続けていますし、ましてや知人は元レーサー。サーキット経験豊富なライダーでも、年齢には勝てないということですね。