<独占インタビュー・上>楽天・オコエ。「戸惑いは一度もない」
オコエの情報処理能力は高い。コーチに言われたことをノートにつけ、取捨選択をしながら自らビデオ映像で失敗の原因を追究しながら進化のヒントをみつけていく ――進化のもうひとつと思えるのは配球を読んでいるよね? 「技術がないのならば、配球を読むしかありません。考え方は単純なんです。高校時代も打てないときは、割り切って配球を読んでいました。そこまでの打席のキャッチャーの配球パターン、そして前打者を見ていると、だいたいわかります。“ここは、このボール”と傾向の出るカウントが、ちょくちょくあるんです。そこでは、しっかりと(ヤマを)張って強振していきます」 ――データを見る? 「見ますが、それを参考にするわけではありません。(猛打賞を打った11日の)広島戦では、1打席目にストレートをヒットしましたが、その前にスライダーに反応してしまいハーフスイングしていました。前の日は、黒田さんのスライダーにやられました。おそらく、キャッチャーの頭の中は、『オコエは変化球が弱い』というイメージがあると考えました。 2打席目は、岡田さんの初球のカーブを狙いましたが、データでは初球カーブの可能性は10パーセントもありませんでした。そのときの配球を考えてのカーブ狙いです。スライダーの方がパーセンテージは高いですが、スライダー狙いではカーブに反応できません。カーブ狙いならスライダーには対応できるんです(結果、引っ張って左前ヒット)」 ――勝利打点や猛打賞を記録。もうプロでやれる自信ができてきたんじゃない? 「2軍で、8試合連続ヒット、それもほとんどが長打でした。そろそろ1軍で、もう一回力を試してみたい、さすがに開幕1軍くらいの打席数をもらえれば1本は打てるだろうという気持ちはありました」 ――それでも1本? 「はい、最低1本。初ヒットは打てると思っていました。2軍でまとまった打席数をもらえたので、その自信はありました」 ――キャンプ初日にゲージからボールが出ず、戸惑いからスタートしたプロ生活だったのでは? 「いえ。ここまで戸惑いは、一度もないんです。『これがプロなんだ』という受け止め方をしています。『プロは凄いなあ』とは思いますが、『やっていけるかな?』という不安はないんです。だって、ここでやるしかないじゃないですか?」