<独占インタビュー・上>楽天・オコエ。「戸惑いは一度もない」
楽天のドラフト1位、オコエ瑠偉(18)が輝いている。交流戦では、日ハム大谷翔平を抜き、高卒ルーキーとしての最多安打を記録。勝利打点、猛打賞、プロ初アーチ……オコエに引っ張られるようにチームも交流戦を勝ち越してリーグ戦の再開を迎えることになった。18歳の驚異の進化は、なぜ生まれたのか。話題の人に独占インタビューした。オコエは、「眠いっす」と目をこすりながら約束時間に現れた。 ――あなたの進化のスピードには驚かされるばかりだ。 「進化っていうんですかね? 進化と見られているのは主にバッティングですよね。高校までは金属バットだったので当てれば打球は飛んでいきました。40本打っているので十分かなと考えていたんですが、木製のバットは難しかった。いろんなアドバイスを受けてきましたが、どのコーチの話にも共通点があったんです」 ――ほう。それは? 「一番は、タイミング。それと……なんだっけな?」 ――おいおい(笑) 「(笑)。もうひとつはボールの見極めですね。そこから先の細かいスイングや、軌道に関しては『自分で考えろ』と。だから、意識しているのはその2点だけ。だんだん慣れてできるようになってきたんです」 ――1軍に再昇格してきたときにバッティングフォームがガラっと変わっていて驚いた。まずはグリップの位置を下げていたよね? そして今は、また高くなっている。 「はい、上げました。一番いいポジションは、ここなんですよ」 ――そもそも、なぜグリップを下げたの。 「癖をつけるために下げたんです。1軍のピッチャーは、ローボールが基本です。そこに近づけるために、グリップを下げてできるだけ近いところから振っていました。それが癖にさえなれば、本来、グリップの位置は、今の位置のほうが理想。今は、この高さからでも低めにバットが出るようになったんです」 ――ローボール? 「開幕で1軍に入れてもらい何打席か立ちましたが、打てませんでした。どの映像を見ても、ほとんど1軍のピッチャーのボールは低めに集まるんです。なのに僕は高いゾーンを振っていました。それを感じても1軍では(試合出場機会が少なく)バッティング練習でしか修正はできません。実戦の数がなかったんです。ファームへ行ったことが、それをやるいい機会だったんです」 開幕1軍に抜擢されたオコエは、11試合に出場して7打数無安打1盗塁。試合終盤の代走や守備固め要員で、先発出場した4月3日の西武戦は3タコ。4月14日に登録抹消されていた。 ――1軍の池山打撃コーチ、2軍の河野打撃コーチの助言を聞きつつ最後は自分で? 「はい、1軍での経験を生かして自分で考えました」 ――左足の使い方でバッティングの“間”が取れているように見える。 「左足の動きは、無意識なんです。どちらかといえば意識しているのは右のお尻に(重心が)乗ることです」 ――右のお尻に? 「誰もが、右のここ(右足の付け根)に乗れと言いますよね? でも僕の場合、ここに乗ることを意識すると(ピッチャーに背中を見せるように左肩が内側に)入り込んじゃうんです。元々、高校時代から入り込むバッティングだったので、右のお尻を意識したほうが正しい重心の位置に乗ることができるんです」 ――そこがオコエのタイミングの起点に? 「ピッチャーのフォームの全体の雰囲気を見て、ここだ!というところで右のお尻に乗って、そこからグリップと、左足が離れるように割りを作ります。間ですよね。間を作る中でのタイミングです。その中で、最近は、勝手に合わせていきます。プロでは、この間がないと球が速すぎて対応できないんです」