バイデン米大統領、イスラエルとヒズボラの停戦合意成立を発表
(ブルームバーグ): バイデン米大統領はイスラエルがレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラと停戦で合意したと発表した。停戦を仲介してきた米国は、数千人もの死者を出した紛争に終止符を打つための大きな一歩と合意を評価した。
バイデン氏はイスラエルとレバノンの指導者と電話で会談し、ホワイトハウスで「イスラエルとヒズボラの壊滅的な紛争に終止符を打つ」60日間の停戦合意にすべての当事者が同意したと述べた。さらに中東全域の「安全保障や経済面での合意を含む一連の歴史的取引をサウジアラビアと完了させる」用意が、米国にはなおもあるとも述べた。
これより先、イスラエルのネタニヤフ首相は治安閣議で停戦案を採決する意向を示し、停戦合意によって「イランの脅威」に集中し、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスに対する圧力を強化することが可能になると述べていた。
停戦案が持ち上がった背景では、バイデン大統領の中東特使を務めるエイモス・ホクスタイン氏が、1月のトランプ政権発足前に紛争を終わらせようとイスラエルとレバノンの間を何度も往復していた。
約1年前に始まった紛争でレバノンとイスラエルの国境地域は壊滅的な被害を受けた。イスラエルはベイルートの一部やその他レバノンの都市を空爆した。今回の60日停戦合意は、より長期の戦争停止に道を開いた可能性がある。
バイデン大統領が話す数時間前、イスラエル空軍はベイルートに過去最大級の攻撃を加えた。
より長期の停戦を巡る交渉は今後、複雑になる可能性が高い。イスラエルはヒズボラにレバノン南部国境地帯からの部隊と兵器の撤収を求めており、その実行は国連軍とレバノン軍が監視する。ネタニヤフ首相は「ヒズボラが武装を再開すれば、われわれは攻撃に出る」と述べた。
今週の商品市場では原油と金が下落。停戦で中東情勢の沈静化が進むとの楽観が市場にある。
レバノンではこの2カ月間にイスラエルの攻撃で約3100人が死亡。人口の5分の1を超える約120万人が住む場所を追われた。