ディフェンス面でも文句なし

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「ジュント、目覚ましい進歩だな！ モハメド・アリのような華麗さで、美しく勝利した。スーパーマンって感じだった」 【写真】バンタム級王者・中谷潤人と怪物・井上尚弥の決戦が今一番望まれている理由 WBCバンタム級チャンピオン、中谷潤人が第6ラウンド2分59秒で、ペッチ・ソー・チットパッタナを下し、同タイトル2度目の防衛を果たした5日後、世界ヘビー級王座を2度獲得(1984年WBC/1986年WBA)したティム・ウィザスプーンは言った。 「すべてのラウンドをジュントが支配したが、俺はタイ人挑戦者のタフさにも驚いた。77戦して1敗のみ。しかも、ダウン経験無しってのが頷けた。前に出る姿勢も、非常に良かった。 ただ、ジュントが見せたコンビネーションは芸術的だったね。彼は本物だし、経験値も高い。そこに大きな差があったな。あのタイ人選手は他団体のチャンピオンに挑めば、世界タイトルを奪取するチャンスが大いにあると思う」 ペンシルバニア州ベンサレムの2LDKアパートで、中学生の五女と2人で暮らすウィザスプーンは、「いい試合だった」と繰り返した。 「お前に勧められてジュントを見始めて5試合目になるのかな？ 物凄いスピードで成長している。オープニングから鋭いジャブを当て、冷静に相手を観察した。目の良さが印象的だった。自分の距離を保っていたよな。そこにドーンと左ストレートをヒット。申し分の無い組み立てだよ。 時折、ジャブと同じモーションで放った右フックも効果的だった。ジュントはボクシングIQが高い。この競技を良く知っているよ。2ラウンドに入って挑戦者が距離を詰め、ワンツーを打っても綺麗に躱したな。翌3ラウンドあたりからは、タイ人選手のパンチ、すべてにカウンターを合わせるような戦い方だった。さらに、顎への右アッパーが光った。思わず『上手い！』って、パソコンの画面に向かって叫んだぜ。それでも下がらなかったチャレンジャーの闘志も俺は讃えたい」 顎へのアッパーは、チットパッタナ戦に向けたトレーニングキャンプで、中谷が繰り返していたものである。それを告げると、ウィザスプーンはニヤリとした。 「長いリーチを生かした距離、クロスレンジと、両方戦えるところがジュントの強みだ。そのうえ、ガードも下がらない。近頃の若い選手は、簡単にガードを下げてしまうきらいがある。俺はその点に心を痛めているんだ。パンチを喰うと、後遺症に悩まされる可能性が高くなる。まぁ、今回のジュントはディフェンス面も良かったよ」