松尾潔・東京都知事選は「‟ひとり街宣“の分水嶺となるかも」と期待
■「ひとり街宣」が急拡大した理由 「ひとり街宣」が今年の都知事選で急拡大した理由の一つに、「ひとり街宣MAP」という地図アプリが7月頃に出来たこともあります。「今日、私はここで街宣しましたよ」とスマホで投稿すると、ほかの人も含めて街宣が行われた場所が地図上にピンクのロゴで表示されるというもので、最終的には東京中が「ひとり街宣」を行ったことを示すピンクのロゴで埋まった状態になっていました。 これは、「国政だろうが地方政治だろうが、主役は政治家ではなく、有権者であるあなたや私が、希望する社会の実現のために動くということだ」ということを表明するもので「立候補している人たちは、実際その政治の場に立つ」と思われがちだけれども、「投票行動をしている人たちもまた政治の当事者である」という、非常に真っ当な話です。 「United Individuals」日本語に訳せば「連帯する個人」でしょうか。僕が「ひとり街宣」を面白いなと感じるのは、あくまで1人1人が自発的に、自主的に、自律的な行動をするんだけれども、そのことがあるときは緩やかに、またあるときはタイトな結びつきを見せて、そのコミュニティを活性化していくという点です。 ■今回の都知事選がのちに「分水嶺だった」と言われるかもしれない 「ひとり街宣」をした人たちの間で、圧倒的に支持されていていた蓮舫さんは、当初、小池さんの対抗馬とされていましたが、結果は「ん?」という数字になりました。果たして「ひとり街宣」の効果がなかったのでしょうか? 逆に僕は「あんなに街中でひとり街宣を見かけたのに、それでも3位ということは、今の政治を動かしているものは何なのか?」というものを可視化したという効果があったと思うんです。 すなわち、組織票、まとまった票を獲得できる団体やその結びつき、そういったものが今の政治を動かしているということです。「政・官・財」でグルグルお金を回しているんだなということが改めて浮かび上がったので、次に繋がることだと思います。
こういった景色が見られるようになったのも、今回の都知事選の大きなことで、のちのち「あのときが分水嶺だったな」と言われるかもしれません。 大健闘、というと本人に怒られるかもしれませんが、YouTubeのショート動画やTikTokを最大限に活用した石丸さんの選挙戦略がどれほど結果に作用したのかを検証し、既存のメディア、特に地上波テレビは改めて告示期間中の「ややいびつに見える報道」「不自然に思える放送の控え方」を再考する時期ではないかと思います。
RKB毎日放送