犠牲の男女5人と同居男性「オレだけがおっさんに」…笹子トンネル崩落12年「納得できない」
男性は日用品メーカーでエンジニアとして働く。生活に身近な製品で、普通に使えば危険性はないが、新製品の開発には厳しい安全性のチェックが行われる。
なぜ人の命に関わる高速道路で、トンネルのボルトの点検や維持管理体制が不十分だったのか。国の事故調査に関する報告書を2回読み込んだが、今も納得できていない。
中日本高速によると、安全啓発館は21年3月に完成後、社員ら延べ約7300人が研修で訪れたほか、警察や消防、鉄道の関係者ら約1200人も見学した。遺族には様々な考えがあり、一般公開はしていない。
男性は展示を見て、「事故の風化が防げるなら」と思い、取材に応じたと明かし、思い出の写真を見て語りかけた。「みんな若いな。オレだけがおっさんになっちゃった。みんながいたら、もっと楽しかった。本当に悔しいよ」
◆笹子トンネル天井板崩落事故=2012年12月2日午前8時3分に発生。天井板が崩落して車3台が下敷きになり、9人が死亡した。接着剤の劣化などが原因とされ、中日本高速の元社長ら10人が業務上過失致死傷容疑で書類送検されるなどしたが、全員の不起訴が確定した。