こんなのあったの? 知る人ぞ知る「スーパーカー」 ひっそりと “消えた” 珍車 50選 後編
ロン・スコーピオン(2009年)
2009年にモナコで開催されたスーパーカーショー「Top Marques」で、ロン・マクスウェルはスコーピオン(Scorpion)を発表したが、残念ながらそれは最悪のタイミングであった。ちょうど世界的な金融危機に見舞われた時期で、このような高級車を買う余裕はなくなり、誰も欲しがらなかったのである。 スコーピオンには、アキュラTLに搭載されている最高出力450psの3.5L V6ツインターボが採用され、特徴的な水素噴射システムにより燃焼効率の向上を図った。しかし、買い手がつかず、マクスウェルは事業を閉鎖せざるを得なくなった。彼は2015年にロン・モーター・グループを設立し、新型のスコーピオンの発売を目指した。
スパイカーC12ザガート(2009年)
スパイカーはそれまでアウディ製のV8エンジンを使用してきたが、C12ザガート(C12 Zagato)にはアウディ製W12を採用した。価格は49万5000ユーロと高価で、発表当時、24台の限定生産と説明されていた。 我々が知る限りではショーカーしか作られず、購入できた人はいない。
ダガーGT(2010年)
突拍子もない主張をする新興企業は面白いが、トランスター・レーシング社はまさにそのような企業だった。2010年、同社はダガーGT(Dagger GT)のデザインを初公開した。車重1150kgのハイパーカーで、最高出力2000ps、最高速度500km/hとされた。 さらにスピードを求める人のために、トランスター・レーシング社は最高速度800km/h(!)に対応する特殊タイヤを装着したGT-LSというオプションを設定していた。我々はその速度を体験できる日を今か今かと待ちわびている……。
エクサゴン・ファーティヴe-GT(2010年)
エクサゴン・ファーティヴe-GT(Exagon Furtive e-GT)は、2010年のパリ・モーターショーでコンセプトカーとして発表され、その2年後には市販車が登場した。 スーパーカーというよりはグランドツアラーに近いフランス製の電気自動車(EV)であり、2基の水冷式電気モーターを搭載し、最高出力407psと最大トルク52kg-mを発生、最高速度250km/hに達すると謳われていた。しかし、2013年にはすべてが水泡に帰した。
アイコナ・ヴルカーノ(2013年)
2013年に上海モーターショーで発表されたアイコナ・ヴルカーノ(Icona Vulcano)は、最高出力800psのV12エンジンと160psの電気モーターからなる、合計出力960psのハイブリッド・パワートレインを搭載していた。2015年にはエンジンをGM製6.2L V8スーパーチャージャーに変更したが、チューニング次第で最高1000psまで引き出すことができた。 さらに、チタン製ボディを採用するなど斬新な設計が注目を集めた。しかし、それ以降は何の音沙汰もない。
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)