「睡眠のためのアプリ」で大規模な広告詐欺、毎月3800万円を不正請求
アプリの詐欺広告を監視するDoubleVerify(ダブルベリファイ)によると、睡眠を促進すると謳う「ホワイトノイズ」を発生させる人気のアプリが、実際には、月に25万ドル(約3800万円)もの収益を不正に上げているという。 ここで良いニュースとしては、彼らが盗んでいるのがユーザーのお金ではないことが挙げられる。しかし、悪いニュースは、このアプリのユーザーが、知らない間に数百万ドル規模の窃盗を助けている可能性があるということだ。また、このアプリは、正当なアプリや音声クリエイターが本来得るべき収益を奪っている。 「このジャンルにおいては、2023年から2024年にかけて、数十の不正なアプリが発見された。音声広告のCPM(広告の表示回数1000回あたりの費用)を保守的な見積もりで5~7ドル(多くは20ドルを超えることもある)とした場合、アプリ1つにつき月あたり25万ドル(約3800万円)を稼いでいる可能性があると見積もっている」とDoubleVerifyは述べている。 詐欺師たちはまず、ホワイトノイズのアプリを作成する。そして、アプリの利用者を装った偽のサーバーを立ち上げ、存在しない正規のユーザーからの広告リクエストが届いているように見せかける。彼らはこの不正なリクエストを広告プラットフォームに送り、広告主が架空の音声広告のために入札するように仕向ける。広告枠が購入されると、詐欺師たちはその費用を手に入れるが、広告は実際には表示されない。 「この詐欺行為は、広告主の資金を浪費させるだけでなく、正当なオーディオチャンネルやパブリッシャーに与えられるはずの資金を奪うことになる」とDoubleVerifyは述べている。 詐欺師の正体を暴く鍵は、彼らの貪欲さにあった。ホワイトノイズのアプリの広告は通常、夜間に再生されるものだが、DoubleVerifyは、昼間の時間帯にも広告リクエストを送信している数十のアプリを発見した。同社の研究チームは、これらのアプリが実際には、広告を配信していないことを確認した。 DoubleVerifyによると、このようなボット詐欺(ボットで実際のユーザーを偽装する犯罪)は、2023年に269%増加し、詐欺スキームも58%増加したという。詐欺師たちは、ネット接続が可能なテレビや睡眠のためのアプリなどの新たなニッチを見つけていると同社は指摘した。 「当社は、サーバーサイド広告挿入技術(SSAI)を用いた詐欺を行っている数百の音声アプリを特定した。当社の研究所は、毎年1000を超えるアプリが偽のインプレッションを生成し、正当なトラフィックに紛れ込もうとしていることを把握している」と、DoubleVerifyは述べている。 同社によれば、現状で不正に関与しているアプリの例としては、Google Playで配信中の「Deep Sleep」と「Deep Sleep Kids」が挙げられるという。筆者は、これらのアプリを提供しているSNK Digitalに連絡を試みたが、問い合わせフォームはエラーを返し、この会社はリンクトインにも存在しなかった。
John Koetsier