上熊本駅の屋根落下「補修提案も市が応じず」 損害賠償を請求された業者側が反論会見
JR上熊本駅東口駅前広場(熊本市西区)の歩行者通路の屋根が昨年7月に一部落下した事故で、市から約1億5千万円の損害賠償を請求された施工業者側が17日、熊本市で記者会見し、「私たちは何度も補修工事の早期着工を申し入れたのに、市が一切応じなかった」と反論した。 施工業者は菊池市と熊本市の2社でつくる共同企業体。屋根は2016年3月に完成したが約2カ月後に雨漏りし、23年7月には高さ3・6メートルから重さ100キロの部材が落下した。けが人はいなかった。 調査した市は、屋根を構成する「アルミハニカムパネル」内部に雨水が入り重量が増えたことや、水に長期間さらされてパネルを挟む板の接着強度が低下したことが原因と判断。今年1月、品質や性能を欠いていたとして、業者側に屋根の撤去費約1600万円と新たな屋根の設置費約1億3千万円を請求した。 この日、業者側代理人の上田祐輔弁護士と寺内大介弁護士が会見。「市は具体的な瑕疵[かし]や、雨漏りと熊本地震との因果関係を示していない」と指摘。「業者側は市やパネルメーカーと雨漏りの補修について協議してきたが、コロナ禍以降は市が動かなくなった。業者側の早期着工の申し入れにも応じず、落下事故が起きた」と訴えた。
代理人2人は「市はこうした途中経過をかなぐり捨てて、業者側だけに責任があるように発表したため、会見に踏み切った」と話した。(植木泰士)