目的はいたずら予防だけじゃない。トルク伝達効率が良いトルクスネジと専用工具
いざという時に慌てないようトルクス専用工具も用意しておこう
六角星形のトルクスボルトを回すには、トルクス用の工具が必要です。プラスの十字穴や六角頭、キャップボルトの六角穴に対応するドライバーやソケットレンチやヘキサゴンレンチほどは一般的でなく、工具セットにもまず含まれていないため、つい専用工具と表現してしまいがちですが、ドライバーやソケットと同様の汎用工具の一種です。 そして同じネジ径で六角頭のボルトと六角穴のキャップボルトがあるように、トルクスに六角星形が内側にあるか外側にあるかで二種類に分かれています。 より一般的なのは、キャップボルトのように星形が頭部の内側にある「T型トルクス」と呼ばれるタイプです。これに対して星形が外側にあるものを「E型トルクス」と呼びます。 T型とE型は明確に形状が異なるため、ソケットレンチとヘキサゴンレンチと同様に使用する工具を取り違えることはないはずです。しかしサイズ表記は独特です。 T型トルクスの場合、サイズはT8、T9、T10、T15、T27、T30……となり、E型トルクスはE4、E5、E6、E7、E8、E10……と続きます。六角ソケットやヘキサゴンレンチは、8mmや10mmというサイズは対辺の距離で共通ですが、トルクスのサイズ表記は直接的にどこかの寸法を数値化したものではありません。強いて言うならE型トルクスの数字は六角星形の向かい合った頂点の距離の近似値ではありますが、T型の数字部分は記号でしかありません。 そのため、バイクいじりに慣れた人でもボルトの見た目で工具のサイズを当てるのは難しく。近しいと思われる工具を試しに当ててみてサイズを合わせるのが一般的なようです。 トルクスボルトは先に述べた通り、六角ボルトやキャップボルト同様に締結部品の一種であり、これを回すためのトルクスビットやソケットも特殊工具ではありません。 旧車や絶版車しか扱わないのであれば別ですが、新旧問わずさまざまなバイクに触れる可能性があるなら、工具箱の中にトルクスビットやソケットも用意しておきたいものです。 【POINT】 ポイント1・六角星形のトルクスはボルトと工具が面接触になるため、線接触のキャップボルトより締め付けトルクの伝達効率が良い ポイント2・トルクスは開発メーカーの登録商標で、一般的にはヘクサロビュラ、ヘックスローブといった名称で呼ばれる ポイント3・トルクスにはT型とE型の二種類があり、星形が頭部の内側にあるものをT型、外側にあるものをE型と呼ぶ
栗田晃