患者のメリットはゼロ!…マイナ保険証を「いますぐ考え直したほうがいい」理由と、いまこそ思い返すべき「住基カード大失敗」の悪夢
従来の健康保険証の発行が停止になり、マイナ保険証への切り替えが進むことになっている。しかし、この方針には様々な問題がある。この問題は、根本に戻って考え直す必要がある。 【写真】今や「賃上げ」こそが「物価」を押し上げる危険な原因に…
マイナ保険証にはメリットがない
12月2日で、従来の健康保険証の発行が停止された。従来の健康保険証は、今後は、原則としてマイナンバーカードに保険証の機能を乗せた「マイナ保険証」に切り替えられることになる。 しかし、マイナ保険証の利用は進んでいない。 10月末時点でのマイナンバーカードの普及率は全人口の約76%であり、マイナ保険証の登録は、カード保有者の82%だ。しかし、10月の利用率は、15.7%にすぎない。つまり、登録はしたものの、ほとんど使われていない。 なぜ使われていないのか? その理由は明らかだ。患者の側から見て、メリットが感じられないからだ。その半面で、利用に危険が伴うと感じている人が多いからである。 マイナ保険証の利点として、薬情報をさまざまな機関の医師や薬剤師が共有できることが挙げられている。確かに、共有化は便利だ。しかし、それを便利と思う人が任意で使えるシステムにすべきだろう。全国民にマイナ保険証の利用を強制する理由にはならない。 また。これまでの「お薬手帳」でもある程度の情報共有ができる。むしろ、患者の立場からいえば、この方が便利だと考えている人が多いだろう。どのような薬を処方してもらったかがすぐにわかるし、日付や医師名も書いてあるので、受診記録としても使えるからだ。
マイナ保険証に危険を感じる人は多い
マイナ保険証にメリットが感じられない反面で、危険ははっきりわかる。 これまで、マイナ保険証に誤った情報や他人の情報が紐付けられているケースが多々報告された。そうしたケースは、稀であったとしても、深刻だ。こうした事故は、根絶されなければならない。これに対して不安を覚えている人は少なくないだろう。 より現実的で誰もが不安に感じているリスクは、マイナカードの紛失だ。 これが保険証になったことで、マイナカードを持ち歩かなければならないケースが増えた。だから、マイナカードを紛失する危険が増えた。 マイナカードは持ち歩きたくない。しかし、出先で病気になることを考えれば、旅行や出張にも持参しなければならない。 もちろん、従来型の健康保険証でも紛失のリスクがあった。しかし、万一紛失したとしても、そこに掲載されている情報は限られたものだ。ところがマイナカードの場合には、紛失すれば、それとは比べ物にならないほど、大量の情報が危険にさらされることになる。