患者のメリットはゼロ!…マイナ保険証を「いますぐ考え直したほうがいい」理由と、いまこそ思い返すべき「住基カード大失敗」の悪夢
資格確認書がいつになっても必要?
利用が進んでいないのは、患者の側だけではない。医療機関や薬局でも対応していない場合がある。 薬局が対応していなければ別の薬局に行けば良いが、かかりつけのクリニックが対応していない場合には、面倒だ。別のクリニックに行けば良いというわけには必ずしもいかない。 だから、従来の保険証も、捨てないで持っている必要がある。しかしこの有効期限が来たときにまだクリニックが対応していなければ、どうなるのだろうか? 政府は、「資格確認書」というものを発行してくれることになっているのだが、すでにマイナ保険証に登録している場合には、送ってくれない。では、申請すればすぐに送ってくれるだろうか? 仮にそうであるとすると、マイナ保険証への完全切り替えはいつになってもできず、中途半端な状態が続いてしまうことにならないだろうか? もちろん、いまはマイナ保険証に対応していないクリニックや薬局も、いずれは対応することになるかもしれない。しかし、そのように期待してよいのだろうか。 そもそも、国は対応していないクリニックや薬局に対して、対応を強制できる権限を持っているのだろうか?
スマートフォン搭載は危険
政府は、マイナ保険証の利用を促進するため、医療機関の診察券の内容もマイナ保険証に載せ、これをスマートフォンで利用できるようにするという。 これが導入されれば、マイナ保険証の利用は促進されるだろう。しかし、これによって患者のリスクは増大することになる。 第1に、カード型のマイナ保険証であれば、常時携行するわけではない。しかし、スマートフォンは、ほとんど常時携行する。したがって、マイナ保険証を紛失する危険が増すことになる。 また、スマートフォンは、カードと違って、装置が正常に機能していなければならない。しかし、スマートフォンの動作が異常になることは、しばしばある。これを常時メンテナンスするのは、かなり大変なことだ。 現状では、どうしてもスマートフォンでなければできないという仕事はない。スマートフォンが動かなければPCで代替できる場合がほとんどだ。しかし、かりに保険証がスマートフォンだけでしか利用できなくなってしまったら、大変だ。おそらく、対応できない人が大部分なのではあるまいか?