「山の神に迫った男たち」宮下隼人&山本唯翔が“史上最大の5区決戦”を大予想! 箱根駅伝の4代目「神」候補は若林宏樹(青学大)かそれとも…?
「神」に肉薄したふたりの予測は?
宮下は、今回、5区の区間新を狙える選手として、吉田と若林の名を挙げた。 「ふたりには経験がありますし、トラックでもロードでも結果を出しているじゃないですか。僕が学生の時に言われた、5区だけじゃなく、トラックやロードでも活躍するというのを体現している印象があるので、どんな走りをしてくれるのか、すごく楽しみです」 そして山本は、宮下と同じふたりに加え、さらにふたりの選手の名前を挙げた。 「やはり、吉田響選手と前回、区間新を出した若林選手が区間記録を破る可能性があると思います。それと山川(拓馬・駒澤大3年)選手とは、全日本大学駅伝(2023年)の8区で戦ったんですけど、彼が区間賞を取って、僕は5位でした。最近の駅伝(2024年の全日本)を見ても強いなと思うので、山川選手が5区を走ると、かなりの好タイムが出るんじゃないかなと思います」 山本が最後に名前を挙げた選手は、城西大の後輩だった。 「激坂王(2022年激坂最速王決定戦)を一緒に走ったんですけど、自分は斎藤に1分ぐらいの差をつけられて負けたんです。斎藤は上りが強いですし、平地もかなりスピードがついているのでやってくれるんじゃないかなと思います。 でも、区間新が出ると、わずか1年で区間記録を抜かれてしまうことになるので、ちょっと寂しいですね。ただ、今井さん以上の人が出てくるというのはすごいことだと思いますので、今回の5区には期待したいです」
5区で結果を出すために必要なもの
山の神になるべく、5区で結果を出すためには何が必要なのだろうか。 山本は、ちょっと考えて、こう言った。 「山の神になれる人は、チームのためにというのもありますが、どれだけ本気で前向きに山に取り組めているかだと思います。自分もそうでしたが、身を削って山のために全てを捧げる、そのくらいの覚悟で狙っていかないと山の神にはなれないと思いますね」 山本は、山を駆け上がるために普段の生活にも支障が出るぐらい体重を落とし、お菓子や夜更かしなど、体に悪影響を及ぼす“悪魔の囁き”をすべて振り払った。その姿勢から、仲間には「仙人」と呼ばれていた。そのくらい徹底した先に2度の区間新が生まれたのだ。 一方、宮下はずばり「気持ち」だという。 「僕は、気合いとか気持ちとかあまり好きじゃないんですけど、5区に関しては、それがすごく重要です。とにかくキツいので、ちょっと手を抜こうとか、ラクに走ろうと思おうものならすぐに終わってしまう。そのくらい厳しいんですよ。もちろん、楽しむ気持ちも大事ですが、僕は5区で結果を出すには気持ちだと思います」
「4代目」への気持ちを持つ者は現れるか
5区を制するためには、自分のリズムを刻み、小涌園から最高到達地点の間で差をつける、といった戦術面も重要だ。だが、人と競り合い、自分と向き合って山を駆け上るためには、やはり強い気持ちが必要なのだ。 それを襷の内側に秘め、「4代目・山の神」は果たして誕生するだろうか――。
(「箱根駅伝PRESS」佐藤俊 = 文)
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