「内申書を点数化」? 大学入試改革は今どうなっているのか
本格的な大学入試シーズンを控え、受験生は勉強に本腰を入れていることでしょう。ところで大学入試に関しては、大学入試センターの後継テストである「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の記述式問題の在り方が話題になっています。一方、個別大学の入試に関しては以前、「高校内申書、点数化を検討」といった報道も一部ありました。大学入試改革は今、どうなっているのでしょうか。 【写真】東大の外国人向けコース、辞退7割は「不思議」なの?
2021年度に向けて “先送り”
高校教育、大学教育、大学入試を三位一体で改革する「高大接続改革」は、2014年12月に文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)の答申で打ち出されました。その後、有識者を委員とする文部科学省の「高大接続システム改革会議」最終報告(2016年3月)を経て、現在は省内関係幹部に有識者を交えた「高大接続改革チーム」で非公開の会合を重ねています。 三位一体改革のうち、高校教育改革は、学習指導要領を改訂するための審議が12月の中教審答申に向けて大詰めを迎えています。大学教育改革も、「三つの方針」(卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受け入れの方針)の策定が全大学に義務付けられ、 2017年度中の公表に向けて各大学で“入り口から出口まで”の改革が加速化する見込みです。 一方、諸会議を経ても迷走を続けているのが、大学入試改革です。そもそも「高大接続改革答申」自体、やれることしか書かない通常の答申と違って、課題に対する方向性を示す「提案型」の答申だったと、当時の担当者が後になって明かしています。 実際、答申では学力評価テストを高校在学中に複数回受けられるよう提言していたのに、システム会議の最終報告では、それに代わって国語と数学で記述式問題を導入するという、まったく新しい提案を行っています。それでも採点方法や実施時期をめぐって課題が山積し、改革チームと国立大学協会がやりとりを行うなどして、17年度初頭の実施方針公表に向けて詰めを急いでいます。 大学入試改革論議が学力評価テストの検討に追われる中、早々に先送りとなったのが、個別大学の入試改革です。学力評価テスト導入の前に改革を進める手もあったはずですが、21年度の「大学入学者選抜実施要項」で新たなルールを定めるとしています(17年度初頭を目途に予告通知の予定)。 21年度入試といえば、20年度中に実施される初の学力評価テストを受けた高校3年生が受験します。全ての入試改革が、21年度入試に照準を合わせた格好です。