「年収の壁」は一体どれだけ存在している? 有名なものを教えてください!
「年収の壁」には、103万円の壁、130万円の壁などいくつかの種類があります。 本記事では、年収の壁の具体的な種類を分かりやすくご紹介します。年収によって受けられる控除や年収の壁に対する政府の施策などにも触れますので、今後の働き方を考える際の参考にしてください。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
年収の壁とは?
年収の壁とは、扶養内で働くパートやアルバイトなどの方にとって、税金や社会保険料の負担が生じる年収のボーダーラインのことです。 給料が増えても、年収の壁を超えて税金や社会保険料が天引きされると、給料が増える前より手取りが減ってしまう可能性があります。さらに、配偶者の納税額に影響を与えてしまうケースもあるため、年収を抑えようと就業時間を調整しながら働いている方は少なくありません。
年収の壁は6種類
年収の壁には6つの種類があります。それぞれの壁を見ていきましょう。 ①100万円の壁 100万円の壁は、「収入の全てが手元に残るか」のボーダーラインです。 年収が100万円を超えると、住民税が発生します。住民税は居住している都道府県・市区町村に支払う税金であり、1月1日時点での居住地や前年の所得、控除額によって課税額が決まります。 また、令和6年から新設された「森林環境税」という国税が、住民税と併せて一律1000円徴収される点に注意しましょう。 ②103万円の壁 103万円の壁は、「所得税を納めるか」のボーダーラインです。 年収が103万円を超えると、所得税が発生します。所得税は、1年間の所得から各種控除を差し引いた課税対象額に、所得に応じた税率をかけて算出されます。 例えば、年収が105万円、適用される控除が給与所得控除と基礎控除(合わせて103万円)のみの場合、納めるべき所得税は下記のとおりです。 (105万円-103万円)×5%=1000円 ③106万円の壁 106万円の壁とは、「勤務先の社会保険に加入するか」のボーダーラインです。 年収が106万円に達し、「勤務先の従業員数が101人以上」「週20時間以上勤務」など一定の要件を満たす場合には、勤務先で厚生年金保険や健康保険に加入しなければなりません。 社会保険に加入するとさまざまなメリットがある一方で、給料から保険料が天引きされる分、手取りは減ってしまいます。 ④130万円の壁 130万円の壁は、「社会保険の扶養から外れるか」のボーダーラインです。 年収が130万円に達すると、106万円の壁にあるような要件は関係なく扶養対象外となります。自身で勤務先の厚生年金保険・健康保険に加入するか、国民年金・国民健康保険に加入しなければなりません。 ただし、60歳以上の方や障害厚生年金を受給できる程度の障害がある方は、130万円ではなく180万円以上で扶養から外れます。 ⑤150万円の壁 150万円の壁は、「配偶者特別控除を満額受けられるか」のボーダーラインです。 配偶者特別控除とは、配偶者が納めるべき税金を計算する際に、所得から一定額を差し引いて課税対象額を減らせる制度です。年収が150万円を超えると、配偶者特別控除は満額の38万円から段階的に減額され、配偶者の税負担が増えていきます。 ⑥201万円の壁 201万円の壁は、「配偶者特別控除を全く受けられなくなるか」のボーダーラインです。 年収が150万円を超えると縮小していく配偶者特別控除が、201万円(厳密には201万6000円)に達した時点でゼロになります。配偶者の税負担が増える分、実質的な世帯収入は減少してしまうでしょう。 なお、配偶者特別控除については、配偶者側にも適用要件があります。配偶者の所得が900万~1000万円の場合は控除が減額され、1000万円を超える場合は控除自体が適用されません。