トランプ次期政権に暗雲〝米国バブル崩壊〟の大惨事 インフレ・高金利に懸念 日本は激震に注意、長期的に惨劇がトレンドの転換点に
米国のバブルを生じさせた大きな原因の一つである世界的デフレ・低金利の時代は終わっている。少なくとも今後数十年はインフレ・高金利の時代になるはずだ。
インフレに強い懸念を抱いているトランプ氏の政策も、結果的にインフレ促進・高金利を招くだろう。その結果、バブル崩壊は避けられない。不景気と物価上昇が同時にやってくる「スタグフレーション」の可能性が高い。ドルの基軸通貨としての地位も低下しており、さすがのトランプ氏も対処するのは困難だ。
それに対して、デフレの時代に「独り負け」の感があった日本は、長期的な成長へと向かうと考えられる。日本企業はキャッシュリッチで耐性がきわめて強い。「失われた30年」の間に血のにじむような構造改革を行ってきたから筋肉質だ。バフェット氏も日本の総合商社に投資するなど、日本企業への新たな投資に興味を持っている。
日本は米国がベトナム戦争以後落ち込んでいた時代にバブルを含めた繁栄を経験し、逆に1990年代以降の米国繁栄の時代に「失われた30年」に遭遇した。長期的には米国の惨劇がトレンドの転換点になると考える。
ただし、米国は、グローバル化が進んだ日本企業にとって極めて重要な市場であるから、短期的には日本にもかなりの激震が走ることには注意すべきだ。
■大原浩氏(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所代表パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。