「10年で約4割も減少」「DX化が裏目に??」…じわじわ減少のファミレス業界でとくに厳しいチェーンの”特徴”とは?
■じわじわ減っているファミレス 今年(2024年)の4月、筆者は東洋経済オンラインに「ファミレスが『時代遅れ』になってきてる深い理由 ガストもサイゼも…国内店舗数はジワジワ減少」と題した記事を寄稿した。 【画像9枚】「10年で約4割も減少」したファミレスは“ここ”だ 上位4チェーンが揃って国内店舗数を減少させていることを説明しつつ、個々人の嗜好が多様化し、「なんでも安く食べられる」こと自体が大きな魅力を持たなくなった現在、より専門的で個人の好みを満たすことのできる専門店のほうが、業態としては有利なのではないか……などと論じていた。
ただし、あれから数カ月経って各社の動向を見ていると、ファミレスの中でも「意外と善戦」しているところもあれば、「思ったより苦戦」しているところもあることがわかってきた。 業界をさらに細分化していくと、「低価格路線」よりも「中価格路線」のほうが、さらなる苦境を強いられているようなのだ。 【画像9枚】「10年で約4割も減少」「DX化が裏目に?」…じわじわ減少のファミレス業界でとくに厳しいチェーンの”特徴”とは?
まず、ファミレスの一大チェーンであるガストの店舗数を見てみよう。 コロナ禍前では最大1390店舗だったが、2020年からコロナ禍の影響もあって、数が減少。以後も数をじわじわ減らし続けており、2023年12月期では1280店舗になっている(いずれも期末の数字)。 しかし、店舗数がじわじわ減っているとはいえ、である。実際、すかいらーくグループの業績を見てみると、客単価・客足共に伸びており、グループ内で圧倒的な店舗数を持つガストがその業績に貢献していることは間違いない。
また、すかいらーくグループは2025~2027年の中期事業計画を発表したが、そこでは今後の既存店の方向として、「業態転換」は年平均で40店舗を見込むのに対し、「店舗改装」は年平均で300店舗の実施を見込んでいる。既存店をそのままリニューアルする方向に注力していく方向性だ。つまり、ガスト自体は以後もかなりの数が温存されていく。 実際、ガストはさまざま戦略を行っている。 例えば、ガストでは2023年にグランドメニューを改定しているが、ここでは「アルコールの全品値下げ」や「小皿、シェア商品の拡大」等を打ち出している。コロナ以後に復活してきた「ちょい飲み」需要を拡充させ、結果的には客単価の増加を狙う意図も見えるが、ただでさえ円安が急激に進行し、物価高が進む現在において「値下げ」に踏み切っている。