「10年で約4割も減少」「DX化が裏目に??」…じわじわ減少のファミレス業界でとくに厳しいチェーンの”特徴”とは?
また、こうした業績拡大の背景には、すかいらーくグループの店舗全店にわたって、ネコ型の配膳ロボットの拡充やセルフレジ導入などの、DX化を進めていることもある。 特に、配膳ロボットに関しては、2022年ごろから店舗への配備を増やしており、当初は人間が配膳をしないオペレーションに対して不安の声もあったが、低価格帯のファミレスであるガストについては、そこまでのサービスを求める声がなかったこともあり、かなり浸透している。
こうした戦略によって、ガストはかなり踏ん張っているといえそうだ。 ■意外と厳しいのは「ジョナサン」? このとき、さまざまな決算関連の書類を見ていると、あることに気が付く。実は、すかいらーくグループの中でも、ガストより「ジョナサン」のほうが厳しいのではないか? ということだ。 実際、10年間という期間で見れば、もっとも多かった303店舗(2015年12月期)から188店舗(2023年12月期)と、100店舗以上を閉めている。割合にして38%も少なくなった計算だ。
母数が違うのでわかりにくいが、8%程度の減少にとどまっているガストよりも、はるかに減少率が大きいのだ。 すべての決算や店舗での取り組みは、すかいらーくグループ全体を合わせた形でしか見ることができないから、確定的なことはいえない。 ただ、減少率から判断するに、ガストよりもジョナサンのほうがより厳しい局面に置かれているのは間違いないだろう。 この理由は、ガストとジョナサンの、ファミレス内でのポジションを考えるとわかりやすい。端的に言えば、ガストのほうが低価格路線、ジョナサンのほうは高品質・中価格路線のファミレスだということだ。
■高品質・中価格路線を進めるジョナサン メニューを見るのが一番わかりやすい。例えばアルコールだ。 ガストでは、ビールは生ビール(アサヒスーパードライ)が1種類、ワインも赤と白が1種類ずつなのに対し、ジョナサンはビールについて、生ビール(プレミアムモルツ)と中瓶(ハートランドビール)の2種類を揃える。また、ワインもいくつかの店舗限定で、豊富な種類を取り揃えているところもある。 これに伴って、価格もジョナサンのほうが高い。種類が異なるから当然だが、ガストの生ビールは税込500~550円に対し(ガストは地域によって値段が異なる)、ジョナサンの生ビールは税込605円、ハートランドの中瓶は税込659円だ。