「10年で約4割も減少」「DX化が裏目に??」…じわじわ減少のファミレス業界でとくに厳しいチェーンの”特徴”とは?
そしてロイヤルホストを見ると、配膳ロボットなどは導入されていない。店舗のサービス面での満足度を守るうえでは、これが正解なのかもしれない。 実際、ロイヤスホストを運営するロイヤルホーディングス2024年6月の中間決算を見ると、売上高・営業利益ともに過去最高を記録している。それだけが理由でないにせよ、恐らくこうした全体的な雰囲気作りに成功していることは指摘できるだろう。 以前、筆者はすき家の店舗を訪れ、その容器がすべてプラ容器になっている、通称「ディストピア化」をレビューした。その後、すき家の「ディストピア化」という言葉は、ほぼ一般名詞となり、こうした業務の効率化についてはさまざまな声があがった。
筆者としては、特に「ディストピア化」を批判するつもりはなく、その工夫を面白く感じていた。 実際、すき家ぐらいの低価格帯の店であれば、こうした業務の機械化による「ディストピア化」も許容されるだろう。なぜなら、顧客の期待は「価格」にあり、満足なサービス等を求めて来ているわけではないからだ。 ■大事なのは、DX化が戦略や客層にマッチしているか つまり、重要なのはその店のターゲットと、その戦略がどれぐらい一致しているかである。ガストも、誕生した当初から「激安」路線を貫いており、その点ではDX化や効率化と相性がいい。
その点で、やはり中価格帯の店は、身の振り方が難しい。顧客からすれば、「せっかく、ちょっと高めのファミレスに来てるんだから……」となるし、そこでのサービスが安価なファミレスと同じであれば「じゃあ、そっちに行こう」となる。消費者からすると、なんとも中途半端に感じられてしまうのだ。実際、ジョナサンに訪れてそのように感じたことがある人も多いのではないか。 「ファミレス業界に、以前ほどの勢いがない」と一口に言っても、さまざまなファミレスがある。しかし、真っ先に苦境に立たされるのは、低価格帯のファミレスではなく、ジョナサンのような中価格帯のファミレスかもしれない。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター