「10年で約4割も減少」「DX化が裏目に??」…じわじわ減少のファミレス業界でとくに厳しいチェーンの”特徴”とは?
また、食べ物も同様で、ジョナサンのほうはガストに比べると、より「素材へのこだわり・鮮度」を押し出している。すかいらーくの社長を務めたこともある横川竟は、自身がジョナサン社長に就任した際、新しい価値作りとして「安全と健康」を押し出した経緯を説明している。逆にその分、価格としては中価格帯での提供になっているわけだ。(『すかいらーく創業者が伝える「売れて」「喜ばれて」「儲かる」外食業成功の鉄則』による)
付け合わせの違いなどはあるが、ハンバーグの値段を比較してみると、ジョナサンのほうは、ハンバーグデミグラスソースが税込1394円なのに対し、ガストの目玉焼きハンバーグは税込620~720円である。単純比較はできないものの、結構な値段の差があるなあと消費者としては感じてしまう。 ジョナサンが店舗として押し出すのは、こうした「食へのこだわり」である。それとともに、接客や店舗の雰囲気といった、付加価値的な要素もニーズとして求められるだろう。しかし、ここに一つ問題が生じる。
そもそも、「安さ」を訴求することの多いファミレスにおいて、ジョナサン的なポジションが中途半端なものになってしまっているのではないか、ということだ。 ガストであれば、商品の値下げやDX化をどんどんと進めて効率を上げることで、顧客としても満足のいく結果が得られる。消費者も、そこまでのサービスをそこに求めない。 一方、ジョナサンの場合、「ちょっとだけ高級」を押し出しているから、すぐすぐの値下げは難しいし、また、過度なDX化も顧客からしてみればジョナサンの雰囲気と合わないと思うかもしれない。「せっかくこれだけ払っているなら……」と思うのは、人情だろう。
これは主観に過ぎないが、ジョナサンの少し高級感を押し出す内装の中で、可愛らしいロボットが動いているのを見ると、どうもミスマッチな感じも否めないのである。 すかいらーくグループは全体としてDX化に取り組んでいるから、ジョナサンにおいては、店が本来目指す方向と、グループ全体の方向が乖離してしまう。 ■ロイホは好調だが、中価格帯の店は中途半端に? 逆に、他のファミレスはどうだろうか。 例えば、ロイヤルホストは、ジョナサンよりもさらに高価格帯のメニューが揃っている。店の方向性としても「脱低価格」路線を進めており、すでに2013年の段階で客単価は1170円に達している。