立民・国民民主、虚実ないまぜの「共通政策協議会」 基本政策巡る議論で早くもつまづき
来夏の参院選に向けた立憲民主、国民民主両党の基本政策を巡る話し合いが早くもつまずいている。立民側は基本政策を協議する「共通政策協議会」を年内に立ち上げると表明したが、国民民主側は立民側の発表は違うと主張する。両党は選挙協力には憲法やエネルギーなどの基本政策の一致が必要との認識だが、話し合いの場を作る段階から虚実ないまぜの状態に陥っている。 ■「連合の推薦政党として共通政策を」 立民の辻元清美代表代行は9日、国民民主側との認識のズレについて問われ、「協議体という言葉で言うのかは別として、(話し合いは)相当いいところまで詰めてきた。これまでの延長線上でやっていこうという趣旨だ」と述べた。同時に、「もったいないですよ、今まで積み上げてきたことがね」とも付け加え、引き続き政策協議を進めるべきだと強調した。 「共通政策協議会」の設置は立民の重徳和彦政調会長が5日の記者会見で明らかにした。重徳氏によると、協議には両党の政調会長と政調会長代理のほか、連合傘下の産業別労働組合(産別)の組織内国会議員らで構成する「連合出身議員政治懇談会」(政治懇)の幹事らが参加するという。重徳氏は「参院選における連合の推薦政党として共通政策を作り上げる」と意気込んだ。 ■「立民は拙速すぎる」 だが、国民民主の榛葉賀津也幹事長はかみついた。榛葉氏は翌6日の記者会見で、「『国民民主と連携しますよ』ということをアピールしたいのかもしれない」と勘繰った上で、「協議体、どうこうという話ではない」と突き放した。 榛葉氏の発言には立民側から反発の声が上がる。立民が前のめりなのは、参院選の帰趨を左右する改選1人区で国民民主の選挙協力を得たいからだ。立民幹部は「国民民主の高いレベルでも確認したと聞いた上で発表した」と明かす。榛葉氏は令和元年参院選で立民に対抗馬をぶつけられたことがあり、立民中堅は「私怨」と吐き捨てるように言った。 一方、国民民主側は「立民側は拙速すぎる」(関係者)と警戒心を隠さない。これまで立民が憲法やエネルギーなどの基本政策をないがしろにし、国民民主や連合が連携を否定する共産党との共闘を重視してきたからだ。
榛葉氏は立民と共産が共闘した7月の東京都知事選などを挙げ、「主義・主張の異なる政党とがっつり組んだ人もいた。そういう一個、一個を立民が整理して基本政策をどうするかだ」と述べ、まずは党内意見を集約するよう注文を付けた。(永原慎吾、深津響)