投資家は米利下げなら株・債券の配分増加へ=ブラックロック
Davide Barbuscia [ニューヨーク 10日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックのマーティン・スモール最高財務責任者(CFO)は10日、米連邦準備理事会(FRB)がたとえ「控えめ」であっても利下げを行えば、投資家はキャッシュの資産配分を減らして株式と債券の配分を増やすとの見通しを示した。ニューヨークで開催されたゴールドマン・サックスの米金融サービス会議での発言。 今年初めにはFRBが積極的に利下げを進めると予想されていた。しかし金利水準が高いにもかかわらず米経済が勢いを保っていることから、最近は大幅利下げの観測が後退しており、今のところ投資家がキャッシュの配分を減らした様子は見られない。 スモール氏は「控えめな利下げであっても、かなりの投資家が再びリスクを取り始める動きを誘発することになると思う」と発言。その上で、まだキャッシュの配分が減らないことについて「世界全体で政治的、経済的な先行き不透明感が残っており、キャッシュが顧客にとって魅力のある安全な避難先になっている」と説明した。「市場の利下げ期待は浅く、少なく」なっており、流動性が高く、キャッシュに近いMMF(マネー・マーケット・ファンド)の残高がいつまでも高い水準なのはこうした要因が関係しているとの見方を示した。 それでも、キャッシュ重視の投資家は株式と債券を組み合わせた伝統的投資ポートフォリオに比べて運用成績が劣っており、「投資機会を逃すのではないかという不安から再びリスクを取る動きが起きている」とした。ブラックロックは債券ETF(上場投資信託)など確定利付きの金融用商品が今年、力強い資金流入を記録しており、「洪水のような流入ではないが、確定利付き商品の配分がより通常の水準に戻ってきているのは確かだ」と述べた。